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民法改正(8) -消費貸借-

 企業法務2015/11  大武英司 (※ニュースレター23号掲載)

今月は、消費貸借契約に関する重要な改正点について触れさせて頂きます。
「消費貸借契約」とは、金銭その他の代替物を借り受け、それと同種・同等・同量の物を返還する契約です。典型例は、お金の貸し借りです。

現行の民法では、「消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる」と規定しています。
漫然と読んでいると、ごくごく当たり前のことを定めただけの規定のように見えます。しかし、じっくり意味を考えて読み込むと「お金を受け取らなければ、契約としての効力がない」ということを定めていることが分かります。つまり、当事者の「借ります」「貸します」という意思の合致だけでなく、物(例えば金銭)の交付がなければ契約の効力が認められないということです。 このように、意思の合致だけで効力が生じる契約を諾成契約といい、それに加え、物の交付まであってはじめて効力が生じる契約を要物契約といいます。
現行の民法の規定は、お金の貸し借りは現実にお金の交付を受けてはじめて契約が成立する要物契約であることを定めているということになります。

ところが、改正民法では書面による消費貸借を諾成契約とすることにしました。
つまり、お金の貸し借りを例に挙げれば、「お金を貸します」「お金を借ります」という意思の合致があれば、お金の交付が未だなくとも契約が成立するということにしたのです。
もっとも、ただ単に「貸します」「借ります」と口頭で言っただけで契約が成立するとしたのでは簡単に契約が成立してしまい、トラブルになりかねないことから、「書面による」場合に限定されています。

また、改正民法によると、たとえ書面で「貸します」「借ります」と明らかにした場合であっても、書面を交わしたものの金銭を現実に受け取る前の段階で、お金を借りる必要性がなくなったにもかかわらず、「借りる」という契約に拘束されるのは現実的ではありません。
そこで、改正民法は、借主に対し、金銭の交付を受ける前であれば契約を解除することができる権利を与えました。
もっとも、借主の解除によって貸主に損害、例えば、貸主が借主のために資金を調達する上で生じたコストが生じた場合等には、借主は貸主にその賠償をしなければなりません。
金銭の貸し借りは日常的になされる契約ですので、注意が必要ですね。

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