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民法改正(9) -賃貸借契約-

企業法務

2016/02

大武英司

今月は、賃貸借契約に関する重要な改正点について触れさせて頂きます。
賃貸借契約は企業活動においてはもとより、個人の日常生活においても最も馴染みのある契約類型ではないでしょうか。当事務所でも特に不動産賃貸借に関する契約書等の作成やチェックを行わせて頂くことが非常に多いです。

賃貸借契約をめぐるトラブルには様々なものがございますが、その中でも多いトラブルの1つに「敷金」をめぐる問題があります。

「敷金」とは、いかなる名義をもってするかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭と定義されます。ポイントは、「保証金」や「契約金」等の名義にかかわらず担保目的で賃借人が交付した金銭はすべて敷金にあたるということです。

現行の民法では、「敷金」についての規定が非常に少なく、敷金とはどういう金銭をいうのか、いつ賃貸人が賃借人に対して返すべきなのか等について明確な規定を置いておらず、敷金の取扱いはその多くが判例や解釈によって運用されております。これを具体的に明文化したのが改正民法となります。
改正民法では、まず賃借人が敷金の返還を請求するためには、①賃貸借契約が終了したこと、及び②賃貸物の返還をしたか、賃借人が適法に賃借権を譲渡したことが必要である旨明らかにしています。すなわち、賃借人は賃貸物を返還(不動産でいえば明渡し)しなければ敷金を返還するよう請求できませんし、賃貸人は敷金の返還義務を負いません。

また、改正民法では、賃貸人の敷金返還義務が発生する前であっても、賃借人が負う債務(賃料の支払い等)を履行しない場合には、賃貸人はその債務を敷金をもって充当できる旨規定しております。
例えば、賃借人が敷金20万円を交付しているが、未払賃料が10万円あるとします。この場合、賃貸人が任意に敷金を未払賃料に充て、10万円さえ返還すればよいということになります。
注意すべきなのは、賃料を遅滞している賃借人の側から10万円分の賃料は敷金があるからそれで調整するよう求めることができない点です。

賃貸借契約については、敷金以外にも非常に多くの問題がございますので、随時ご説明させて頂きます。

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