知的財産権コラム第7回
前回は、類似という概念に関してご説明いたしました。今月は、その中でも、「結合商標」の類否判断を取り上げたいと思います。
なお、結合商標とは、一般に、以下のように定義されます(注解商標法 参照)。
記
今回は、特に、上記「二」の文字商標の組合せによる結合商標につき解説いたします。
(1) 基本
識別力(自己の商品または役務を他者のそれから区別させる能力)ある複数の言葉が結合された商標の場合、基本的には、識別力ある語をバラバラに分離して類否を判断します。
たとえば、「富士白鳥」という商標は、大きさの異なる2つの語から成るため、類否判断の際も「富士」・「白鳥」として各語を分離して検討されます。その結果、「富士白鳥」という商標は「富士」もしくは「白鳥」の商標に類似すると判断されます。
同じように、「鶴亀 万寿」という商標は、識別力ある2つの語が著しく離れて構成されているため、「鶴亀」・「万寿」と各語を分離して検討されます。その結果、「鶴亀 万寿」という商標は、「鶴亀」もしくは「万寿」の商標に類似すると判断されます。
(2) 例外
ただし、こうした結合商標の類否判断では例外も多く存在します。
たとえば、「未来づくり with you」という商標が「WITH YOU」という商標に類似するかが争われた事例がありますが、特許庁は、「未来づくり with you」という文字が、一体として「あなたと共に未来を作りましょう。」という観念を生じさせることを理由に、「未来づくり」と「with you」を分離して判断することなく、当該商標を一体として認識して「WITH YOU」と非類似であると判断しました。
また、「御用邸の月」という商標が「御用邸」という商標に類似するかが争われた事例において、裁判所は、「御用邸の月」という商標が、一体として「皇室の別邸より見る月」又は「皇室の別邸に昇る月」という観念を生じさせることを理由に、「御用邸」と「の月」に分離することなく、当該商標を一体として認識して「御用邸」と非類似であると判断しました。
結合商標の類否判断は解釈の振れが出やすい部分ではございますが、複数の結合した語が一体として特殊な観念を生じさせる場合には、一体判断がなされ非類似とされやすいといえそうです。
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