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遺産分割の諸問題(4) -遺言能力と遺言無効確認の訴え-

家事

2016/05

茂木佑介

さて、前回までは、遺言が無い場合を前提とした一般的な遺産分割の過程で生じる諸問題についてお話させていただきました。しかし、実際はそのようなケースばかりではなく、遺産分割の協議を始めたところ、思わぬところから被相続人の作成した遺言が発見されるケースがあります。自分にとって有利な内容の遺言であればともかく、得てしてそのようなケースでは、自分の相続分が一切無いように定められた遺言であるケースが殆どです。今回は、そのようなケースで具体的にどのような手段を取ることができるのかについてご説明させていただきます。

まず、遺言の種類は大きく2つあります。遺言者が、遺言の内容の全文、日付、氏名をすべて自分で記載し署名の下に押印するだけでよい「自筆証書遺言」と、公証役場で公証人に作成してもらう「公正証書遺言」です(その他、秘密証書遺言や特別方式の遺言もありますが、殆どの遺言は自筆証書遺言と公正証書遺言の2つです)。

そもそも、遺言をする際には、遺言能力が必要とされています(民法963条)。そして、「遺言能力とは、遺言者が遺言事項の意味内容、当該遺言をすることの意義を理解して、遺言意思を形成する能力」(横浜地判平成22年1月14日)とされています。したがって、遺言能力が無い方が作成した遺言は無効となります。

そこで、遺言者が遺言能力を失っていたと思われる時期(例えば認知症が相当程度進んでいた時期等)に遺言が作成されていた場合、当該遺言は遺言能力を欠いた者によって為されており無効であるということを主張することができます。具体的には、裁判所(管轄は家庭裁判所のようにも思えますが、実際は地方裁判所に提起することになります)に対して「遺言無効確認の訴え」という手続を取ることになります。

裁判を有利に進める為には客観的証拠の存在が不可欠となります。遺言能力について争う場合は、カルテ、診療記録その他各種医療記録について揃えていくことが必要になります。あくまで裁判では、遺言の無効を主張する側がこれらの証拠を揃える必要がある為、非常に大きな負担を課されることになります。

特に、公正証書遺言の場合、公証役場という国の機関が作成したものである為、それが無効と認められる為には、「誰が見てもこの時期にこのような遺言を作るなんてできないだろう」と考えるような証拠が不可欠です。実際、いわゆる長谷川式簡易知能評価スケールだけでは足りないと判断されることも多く、より踏み込んだ内容の医師の所見等が必要となる場合も多いです。

このように、遺言無効確認訴訟は、いざ裁判となったときに慌てて証拠を揃えようとしても困難な場合が多く、その結果、裁判を有利に進めることが難しくなりがちです。したがって生前に認知症等の問題が生じた際は、あらかじめ成年後見人を選任することはもちろん、可能な限り係りつけのお医者さんともやり取りをするなど、早めの対策が不可欠となります。

いずれにせよ、遺言無効確認の訴えは、法律上多くの難しい点を含んでいます。当事務所は先日も相続人20人を超える複雑な遺言無効確認の事件を解決しており、豊富な経験と実績を備えております。ご親族が認知症に罹患している方、内容に納得のいかない遺言が出てきた方は、一度、当事務所にご相談ください。

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