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弁護士コラム

労働法コラム第3回

解雇(3) ー従業員の私生活上の非行を理由に解雇はできるのか?ー

労働法

2016/06

弁護士:大武英司

解雇(3) ー従業員の私生活上の非行を理由に解雇はできるのか?ー

従業員に対する解雇の有効性について連載しておりますが、今月は従業員の「私生活上の非行」を理由とする解雇の有効性を取り上げます。

従業員の私生活上の言動は、企業の事業活動に直接関連を有するもの及び企業の社会的評価の毀損をもたらすもののみが懲戒処分の対象となり得るに過ぎません。

例えば、深夜酩酊して他人の家に侵入し、住居侵入罪として罰金刑に処せられた従業員に対し、懲戒処分として解雇をすることは有効でしょうか。 これは実際に最高裁まで争われた事例ですが、同事例では解雇無効と判断されました。

解雇の有効性は当事者間で判断できませんので、裁判で決着をつけざるを得ないのですが、裁判では非行とされる行為の態様、刑の程度、職務上の地位などの諸事情を総合的に考慮して判断されます。一般的に言えば、住居侵入罪は比較的軽微な部類に属する犯罪であり、結果的に罰金刑で終わったことが考慮されて、本件では解雇無効と判断されたと考えられます。

それでは、もしこの事例で解雇された従業員が警備会社に勤める警備員であり、しかも侵入した住居が警備を依頼していたお客様の住居だったら、どうでしょうか。

警備会社は会社の事業活動や個人の生活に対する平穏の維持や安全の確保、犯罪予防等を使命としているのは当然のことです。にもかかわらず、その警備員が、しかもあろうことか警備を依頼しているお客様の自宅に不法侵入したとなれば、その警備会社はお客様からの信頼を完全に失うだけでなく、その社会的評価も完全に失墜することは容易に想像できるかと思います。

先月号の本コラムでも触れましたが、解雇の有効性は一刀両断で判断できるものではなく、その結論も事例を少し変えただけで全く違うものとなります。事案によっては、一見重要でないように見える要素が、実は法律的には非常に重要な要素であるということもしばしば存在します。

解雇の有効性を考えるにあたっても、多角的な視点が必要不可欠となります。「解雇をしたいけども解雇ができるか」「始末書を書かせたいが書かせてもよいか」等、従業員に対する懲戒処分についてのご相談がありましたら、是非当事務所までご連絡ください。

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