労働法コラム第6回「賃金(2) ー賃金から控除することができる費用って何?ー」 | 鹿児島 弁護士|弁護士法人グレイス 鹿児島県弁護士会所属

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賃金(2) ー賃金から控除することができる費用って何?ー

企業法務

2016/09

大武英司

前回のコラムでは、「賃金」を支払うべき対象者である「労働者」とは何かについて言及させていただきましたが、今回は「賃金」の問題について触れさせていただきます。

労働基準法11条によれば、賃金とは、「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」とされています。およそ労働の対償(対価)として使用者が労働者に支払うものであれば賃金としての性質を有するという点がポイントです。
ここで、賃金についてよくある事例につき、是非ご確認いただきたい点を2点質疑応答の形でご説明いたします。

Q1:労働者が会社に損害を与えたので、その損害分を控除して賃金を支払いましたが、問題がありますか?

A:使用者は労働者に対して、賃金を直接支払わなければならない(直接払いの原則)と同時に、支払時期に賃金全額を支払わなければなりません(全額払いの原則)。
例えば、労働者が会社所有の機械を故意に破損させた場合、会社には当然労働者に対して損害賠償請求権が発生します。しかしながら、だからといってその損害を賃金から控除して支給することは許されません。これを適法に行うためには、一旦は全額賃金を支払ったうえで、労働者の側から任意に損害賠償をした場合にそれを受け取ることができるに過ぎません。これは、非常によく起こり得る事例です。
なお、労働者が欠勤や遅刻等をした場合には、そもそも労働者に賃金請求権は発生していないので、違法な控除にはなりません。

Q2:つい最近従業員が辞めたが、賞与については支給日に在籍していなかったので支払いません。問題がありますか?

A:賞与については、就業規則等で、支給日当日に在籍していることを支給の要件とする「支給日在籍要件」が定められていることがあります。この要件を定めた就業規則が有効だろうかという点がここでの問題となります(就業規則等に定めがあることが前提です)。
この点について、賞与が当期の考課査定の評価と以後の精勤への期待を目的とする一面があることから、支給日に在籍していない者を不支給扱いにすることについても合理性が認められ、直ちに就業規則が無効とはなりません。
もっとも、例えば、いわゆるリストラの場合のように、使用者が労働契約の終了日を一方的に決定できるときに、支給日在籍要件を利用して不払いとすることは信義に反するものとして認められません。

賃金をめぐる問題は実に多岐にわたります。ご不明な点がありましたら、是非当事務所までお問い合わせください。

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