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  • 家事コラム第9回「遺産分割の諸問題(8) ~預貯金は遺産分割の対象となるのか~」

遺産分割の諸問題(8) -預貯金は遺産分割の対象となるのか-

家事

2017/01

茂木佑介

さて、今回は番外編です。2014年12月号の家事コラム「遺産分割と遺言」~事前の準備が大切です~の回で、「預貯金等の金銭債権は、遺産分割協議を待つまでもなく、相続開始とともに当然分割され、各相続人に法廷相続分に応じて帰属するとされており(判例)、遺産分割の対象財産とはなりません」と記載させていただいたことを覚えていますか。

全国ニュースや新聞(全国紙)でも取り扱われていた為、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、この度、上述の判例(以下「旧判例」といいます)が最高裁判所において変更されました(最高裁判所平成28年12月19日大法廷決定、以下「新判例」といいます)。

新判例は以下のように述べています。

「遺産分割の仕組みは、被相続人の権利義務の承継に当たり共同相続人間の実質的公平を図ることを旨とするものであることから、一般的には、遺産分割においては被相続人の財産をできる限り幅広く対象とすることが望ましく、また、遺産分割手続を行う実務上の観点からは、現金のように評価の不確定要素が少なく、具体的な遺産分割の方法を定めるにあたっての調整に資する財産を遺産分割の対象とすることに対する要請も広く存在する」。そして、「預貯金は、預金者においても、確実かつ簡易に換価することができるという点で現金との差をそれほど意識させない財産である」。このような「各種預貯金債権の内容及び性質をみると、共同相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定期貯金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることなく、遺産分割の対象となるものと解するのが相当である」。

そもそも、旧判例による「預貯金が遺産分割の対象とならない」という取り扱いの方が、一般の方には理解し難いところだったのではないでしょうか。多くの方の場合、不動産を除けば預貯金が相続財産の多くを占めることとなり、預貯金を遺産分割の対象としないのであれば、一体何を分割すれば良いのかということになりがちです。通常は、相続人全員が、預貯金を遺産分割の対象とすることに同意の上、相続人間の調整をしていくのですが、稀に同意が得られない場合、預貯金を遺産分割の対象から外し、その余の遺産についてのみ分割協議をしていくこととなります。

特に旧判例では、共同相続人の1人が、被相続人から生前に多額の生前贈与を受け取っていたとしても、同相続人が預貯金を遺産分割の対象とすることに同意しなければ、法定相続分に応じた預貯金を当然に取得することができます。その結果、他の相続人からすると、著しく不公平な状況になるのみならず、同じ被相続人の財産でありながら、預貯金とそれ以外の遺産で取り扱いや手続が異なることとなり、過大な負担を強いられることとなります。

この点、新判例によれば、そのような状況下でも、当然に預貯金が遺産分割の対象となる為、上述の事例でも、場合によっては生前に多額の贈与を受け取っていた相続人は、預貯金を一切受け取れないといった処理も柔軟に取られることとなります。

以上のとおり、新判例は今後の遺産分割実務の進め方を大きく変えていくことになる画期的なものとなっております。遺産分割を有利に進めていく為には、このような変わりゆく判例の情報を常に仕入れ、アップデートしていくことが不可欠です。
預貯金の遺産分割でお悩みの方は、最新の判例事情にも明るい当事務所に一度ご相談ください。

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