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弁護士コラム

企業法務コラム

職員の採用と労働法

労務問題・労働法

2018/05

弁護士:森田博貴

職員の採用と労働法

企業の多くは、職員を雇い入れ、組織として事業活動を行っております。今月は、そうした職員の採用に関する労働法の考え方をお伝えいたします。
 

1. 採用の自由

まず、採用に関する労働法上の大原則として、使用者には、採用の自由(契約締結の自由)が認められています。この「採用の自由」の具体的内容として、下記4つの自由が認められます。

 ① 雇い入れ人数決定の自由
 ② 募集方法の自由
 ③ 選択の自由(いかなる者をどのような基準で採用するかという自由)
 ④ 調査の自由

2. 採用の自由の限界

もっとも、これらの自由も無制限に認められるわけではなく、労働者(被用者)の人権との兼ね合いにより一定の制約を受けます

たとえば、調査の自由についていえば、企業が質問や調査を為し得るのは応募者の職業上の能力・技能や従業員としての適格性に関連した事項に限られ、職務と全く無関係な事柄を質問したり調べたりすることまでは、認められておりません。

また、選択の自由との関係では、思想・信条を理由とする採用拒否の当否については過去に激しく争われ、最高裁判所でも審理されたことがありますが、この際に、最高裁は、「企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもって雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない」として、思想信条を理由とする採用拒絶を肯定しており、参考となります。

3. 内定取消しの適法性

企業には、新卒採用のプロセスとして、採用内定を出すことが多くあります。

この「内定」とは、「始期付解約留保権付の試用労働契約(見習社員契約)」であるとされております。すなわち、内定によって発生する契約関係とは、正式な雇用契約ではなく、将来の一定時期に正式に雇用契約に入るという「始期」が定められ、その間に一定の事由があれば使用者側は内定者との契約関係を「解約」する権利を留保されている、といった制限付きの一時的な雇用契約関係にすぎない、ということです。

このように、解約権が使用者側に留保されている「採用内定」ですが、使用者の側も無制限に同解約権を行使できるわけではなく、これを解約する際(内定取消しを行う際)は、客観的に見ても相当な事情があることが求められます。その意味で、内定取消しに関する使用者の解約権も、労働法による労働者保護の趣旨に照らし、一定の制約に服さざるを得ないこととなります。

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