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定年・継続雇用制度について弁護士が解説します

定年・継続雇用制度について弁護士が解説します

定年制は、ほぼ全ての会社が導入している制度ですが、他社例を参考にした規定をとりあえず設けるにとどまり、その内容を正確に理解できていないケースも散見されます。

定年制は、適切な人材の確保という観点はもとより、いわゆる「同一労働・同一賃金」の観点からも正確な理解・運用をすることが望ましい分野です。

1. 現在の制度

まず、現在の「定年制」に関する制度は、以下のとおりです。

定年を定める場合には、法律上で、60歳以上にする必要があります。

就業規則において、定年が60歳に設定されていますが、法律上のルールによるものです。

そのうえで、60歳の定年制を採用する会社は、

  • ①定年の引き上げ
  • ②定年制の廃止
  • ③定年後再雇用制度の導入

のいずれかの措置を講ずることが、法律で義務付けられています。

これらのいずれも採用していない会社は少ないと思いますが、就業規則に明記がなされていないケースも見受けられますので、確認が必要です。

2. 定年後再雇用制度が主流になっている理由

多くの会社では、正社員の定年を60歳としたうえで、③の雇用確保措置として、65歳までの定年後再雇用制度を導入しています。

これは、①定年の引き上げを選択すると、定年が自動的に65歳まで延長されてしまい、会社の負担が増すためです。

また、②定年制の廃止を選択すると、定年がなくなり65歳以降も雇用関係が終了しないことにより、さらに会社の負担が増してしまいます。

このように、会社として、ある程度の柔軟性を持った運用にするために、③の定年後再雇用制度が汎用されていますが、①定年の引き上げ・②定年制の廃止をすること自体は適法ですので、導入すること自体に法律上の問題はありません。

3. 定年後再雇用制度の設計ポイント

定年後再雇用制度を設計する場合には、法律のルールに従って設計する必要がありますが、法律のルールを正確に理解していないことにより、必要以上に会社が不利になっているケースも散見されます。

定年後再雇用制度の設計のポイントとして、以下の点があります。

  • 勤務日・勤務時間・賃金等について、会社側から合理的な裁量の範囲で条件提示がなされているのであれば、従業員との間で最終的に合意に達しなかったとしても、会社の違反にはなりません。但し、従業員の生計に大きな支障が生じるような提案(例えば、週2日勤務・1日あたり3時間など)は、認められません。
  • 契約期間は、1年更新によることで問題ないとされています。
  • 最初の再雇用時には、原則として希望者全員を再雇用する必要があります。例外として、就業規則に定める解雇・退職事由に該当するケースのみ、再雇用を拒否できるとされています。
  • 1年ごとの更新時の基準は、最初の再雇用時と同一の条件にする必要はなく、能力等を考慮して更新しないことも可能とされています。
  • 職務内容は、会社の裁量が広く認められる傾向にあります。
  • 賃金等の給与面は、定年前に従事していた職種・業務内容からどの程度の相違が発生するかという点を考慮して決定します。一般的には、定年後再雇用者には、配置転換・転勤がなく、正社員と同等の職責を課さないことを条件として、定年前の70%程度の賃金水準にする例が見受けられます。なお、この点は、「同一労働・同一賃金」の論点も関係するため、特に、個々の手当の設計には別途の留意を要します。

4. 定年後再雇用制度の例外パターン

上記が、定年後再雇用制度の内容ですが、会社によっては、これと異なる内容を定めているケースもあります。

これは、法律で認められているものですが、大前提として、「平成25年3月31日までに労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた」ことが必要です。今からこのような労使協定を締結することはできず、平成25年3月31日までに労使協定を締結した会社に限定されますので、どの会社でも汎用できる制度ではありません。

このような労使協定を締結している会社では、継続雇用制度の対象者について、

  • 平成31年4月1日から令和4年3月31日まで:63歳
  • 令和4年4月1日から令和7年3月31日まで:64歳
  • 令和7年4月1日以降:65歳

という段階的な運用をすることが認められています。

また、このような労使協定を締結している会社では、継続雇用をする条件について、ある程度の柔軟な内容にすることが認められています。

5. 「70歳定年制」の改正

令和3年4月より、上記の制度がさらに改正され、以下のとおり変更されています。

  • 定年を70歳に引き上げ
  • 70歳まで継続雇用する制度の導入
  • 定年制の廃止
  • 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
  • 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
    • -事業主が自ら実施する社会貢献事業
    • -事業主が委託、出資(資金提供)等をする団体が行う社会貢献事業

6. 「70歳定年制」で予想される影響

現時点では、今回の改正は、あくまでも会社に努力義務を求めるものであり、違反による罰則はありません。そのため、「70歳定年制」の導入は、現状では会社に対する影響は小さいものにとどまっています。

今回の改正を契機として、「70歳定年制」を導入することも可能ですが、導入することにより、若年層の従業員の昇進が遅れる可能性があり、いわゆる「働き盛り」の従業員の職務に対する意欲を低下させるおそれもあります。

そのため、当面の間は、現在の制度に基づく運用が依然として主流になるものと考えられます。

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