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運送業の働き方改革について解説

投稿日:2022/11/04
更新日:2022/11/04
運送業の働き方改革について解説

第1 運送業の働き方改革について解説

1. 運送業の働き方改革とは

(1) はじめに
第1 運送業の働き方改革について解説

2019年4月から働き方改革により長時間労働の是正やワークライフバランス改善に向け、企業ではその対策が求められています。そして、運送業界も例外ではありません。しかし、運送業界は他の業界と比較して、業務の性質、人手不足及び物流量の増加といった事情も相まって、長時間労働は避けることが難しいという実情があります。そのため、働き方改革の一内容である「時間外労働の上限規制の適用」への対応は運送業界にとって大きな課題であるといえます。

(2) 時間外労働の上限規制について
ア 労働基準法上の規制について

労働基準法では、労働時間について原則1日8時間、1週間に40時間までと規定されています。ただし、例外として、労使協定により、時間外労働を原則月45時間、年360時間まで行うことが認められています。もっとも、臨時的な特別の事情があり、労使が合意した場合には、この上限を特別条項に合意した場合には、時間外労働を年720時間まで行うことができます(ただし、時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満(2〜6ヶ月平均80時間以内)である必要がある、以下これらの規制を併せて「上限規制」といいます。)。そして、上限規制について罰則付きで法定されたのが働き方改革の一つの内容になります。

イ 運送業における現行の上限規制について

運送業(自動車運転業務)については、現在のところ、上限規制の適用が猶予されています。そして、運送業(自動車運転業務)については、別途、改善基準告示により、拘束時間等の上限が定められ、この内容に応じて時間外労働については規制がなされています。ただし、後述のとおり、運送業(自動車運転業務)についても、今後、上限規制が適用されることになります。

(3) その他の問題について
ア 同一労働同一賃金について

運送業界においても同一労働同一賃金の問題が生じます。実際、運送業を営む会社において、経費削減や人手不足を補うために低額の賃金で、かつ、有期雇用といった条件で運転手を採用することもあります。しかし、無期雇用の運転手と基本的には業務内容が同一であることも少なくないため、待遇の違いについて合理的な理由を見つけることが難しいといったことも想定されます。その場合、同一労働同一賃金の問題が生じ得ます。なお、同一労働同一賃金については、2020年4月から企業規模にかかわらず、全ての企業で問題となります。

イ 月60時間を超える時間外労働の割増賃金率の引き上げについて

これまでは、中小企業において1ヶ月の時間外労働が60時間以上であった場合であっても、これを超えた時間外労働に対する割増賃金率は25%でした。しかし、2023年4月1日からは、中小企業においても割増賃金率が50%となります。そうだとすると、長時間労働が多い運送業界においては残業代の支払いが増加することとなり、何も対策を講じない場合、人件費がそのまま増加することとなり、経営に直接影響が出ることになります。

2. 2024年問題とは

(1)前述のとおり、運送業(自動車運転業務)については上限規制の猶予がなされていました。しかし、2024年4月1日からこの罰則付きの上限規制が適用されることになります。ただし、運送業(自動車運転業務)においては、上限規制が若干緩和されており、原則、時間外労働は月45時間かつ年内360時間、特別条項がある場合には年720時間であるところ、時間外労働の上限は年960時間(休日労働は含まない)とされており、時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満(2〜6ヶ月平均80時間以内)であるとの規制は適用されません。そして、この上限規制が罰則付きで適用されることにより生じる問題がいわゆる2024年問題です。

(2)このように運送業を営む会社においては、いかに時間外労働を減らすかが今後重要となってきます。仮に運転時間を減らすことができないとしても、例えば、1日の業務のフローの中で短縮できる時間等がないかなどの見直すことも考えられます。また、多くの運送業者では歩合制を採用していることも多く、歩合も運転時間に比例して高くなることとなっているため、自動車運転手としても少しでも多くの賃金を得るために自ら長時間労働に従事している場合もあります。そして、無理に会社で労働時間を制限すれば、業界として人手不足であることも相まって、より賃金を多く稼げる会社に転職するといった事態も想定されます。他方、プライベートの時間をしっかりと確保したいという理由で時間外労働が多い職場を避ける者も当然想定され、そうなれば運転手の確保も困難となり、人手不足が恒常化してしまいます。そのため、2024年問題をクリアするには、労働時間の抑制と賃金体系の見直しなど複数の観点から会社の実情に合わせた施策を検討する必要があります。

第2 弁護士法人グレイスでできるサポート内容

以上のとおり、働き方改革及び2024年問題に対応するためには、労務管理のあり方から時間外労働抑制の施策、その他賃金体系の見直しなど様々な観点から検討を行う必要があります。弊所では、労務管理に関するご相談や賃金体系に関するご相談もお受けしています。

また、仮に労働者から残業代請求を行われた際には、会社の代理人としてできる限り、残業代の支払額を少なくできるよう交渉いたします。さらには、労働審判や裁判対応も可能です。運送業を営む皆様で何か疑問やお悩みがございましたら、いつでも弊所にご相談いただければと思います。

監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

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