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企業法務コラム

カスハラを受けたときの具体的な対応と事前にできる対策

投稿日:
更新日:2025/05/01

カスハラの具体的な対策と対応

 いわゆるカスハラ(カスタマー・ハラスメント)に遭遇した際に、何の事前策もなければ、従業員がカスハラの犠牲になるだけではなく、会社にその責任が科されることもあります。また、事前に対策を取っておくだけではなく、実際に過度なクレームなどのカスハラ被害に遭った従業員のフォローといった対応もしなければなりません。

 現在は各地方公共団体もカスハラ対策のための条例を作成するなど、カスハラ対策・対応を十全に行うことが必要とされる時勢になってきています。本記事では、カスハラを受けたときの対策と対応方法についてご説明します。

事前にできる対策

 まずは事前にできる対策をご説明します。以下のような対策を取っておくことで、カスハラ被害を最小限に抑えましょう。

従業員への教育

 まず、従業員への教育を徹底することが重要です。

 例えば従業員には、研修を実施したり、社内でのロールプレイングを実施したりして、不当な要求をするカスハラ加害者に対して毅然とした対応を取るべきことを周知することが重要です。カスハラ加害者は、過度に長時間のクレームを述べるなど、従業員を疲弊させる行動をとり、これによって従業員が自己の不当要求に応じるように仕向けます。このようなカスハラ加害者の思い通りになることのないように、注意が必要です。

カスハラ対策のルール・マニュアルの作成

 次に、カスハラ対策のルール・マニュアルの作成が必要でしょう。

 カスハラ被害に遭った際、具体的には不当なクレームを受けた際などに、どのように対応を取るべきか、社内規定を整備しておくことが重要です。例を出しますと、どのような場合に上司を電話口に出すのかや、どのようなことを言われたらどのような言葉で対応するのか、一定のマニュアルを作成することで従業員の負担が大きく減少します。

証拠を残す設備やシステムを導入する

 また、証拠を残す設備やシステム導入も重要です。

 例えばカスハラを電話で受けることが多ければ、電話の録音(そして電話開始前の録音告知)の設備・システムは導入するべきでしょうし、カスハラ加害者が事業所を訪れる可能性があるのであれば、事業所入り口に音声録音機能付きの防犯カメラを設置するべきでしょう。仮に顧客と口頭で話すことが多いのであれば、会話内容をのちにメール等の文章で送付して確認を取る(異議を述べさせない)ための統一システムの導入も必要でしょう。

 様々なカスハラの態様があり得ますが、会社としてカスハラに立ち向かうためには何よりも証拠の有無・内容が重要です。証拠が無ければ、カスハラ加害者に対する法的対応も取れませんから、注意が必要です。

顧問弁護士との連携

 これらの事前対策を練る際には、顧問弁護士との連携を図ることができれば、非常に有用です。

 顧問弁護士は、平時から会社の状況を的確に把握してくれている存在です。あなたの会社の実情・業態に合わせて、起こりやすいカスハラを整理して必要な対応策を整理してくれるでしょう。特に証拠収集については、法的対応まで見据えて必要な証拠をどのように集めることができるか、適切なアドバイスが得られるはずです。

 もし顧問弁護士が居ない場合には、カスハラ対策のために、早急に顧問弁護士の依頼をご検討ください。

カスハラを受けたときの対応

 さて、実際にカスハラ被害を受けた際の対応についてもご紹介します。

冷静に毅然とした対応をとる

 まずは、冷静に、かつ、毅然とした対応を取ることが重要です。各従業員にはこの点を徹底周知しておくようにしましょう。

 カスハラ加害者の多くは、こちらに過度な要求(例:異常に長時間の電話対応を求める、直接カスハラ加害者を訪問しての謝罪を要求するなど)をしてきます。これらの要求に対し、毅然とした態度で「対応できません。」という事実を伝えましょう。

 また、例えばカスハラ行為を事業所内で行う場合には、カスハラ加害者に退去を求める必要があります。この場合には、相手方に不退去罪という犯罪が成立する可能性があります。その他にも、名誉毀損罪、侮辱罪、威力業務妨害罪、強要罪、脅迫罪など、カスハラ行為には多くの犯罪が成立する余地があります。相手方の不当要求に応じず、淡々と対応することで、あとでカスハラ行為が犯罪に該当すると指摘できるようにしておきましょう。

証拠を確保する

 次に、証拠を確保することが重要です。

 カスハラ行為は、突然始まります。しかしながら、のちにカスハラ加害者に対して法的対応を取るためには、証拠が無ければならないのです。カスハラ行為があったこと自体を示すための証拠としては、録音・録画が最も良いでしょう。

 録音・録画が行えない場合には、カスハラ加害者からの不当な要求を文章にて送付させるなどの工夫が必要です。また、電話の録音ができないにしても、何回電話が来て、その対応に何時間用いたか、といった点の記録は容易にできるでしょう。

 可能な限り、工夫を凝らして、証拠を確保しておくべきです。このためにも、証拠確保のための事前準備が重要です。

顧問弁護士に相談する

 これらの対応を取り、カスハラ被害を受けたのちには、できるだけ早急に顧問弁護士に相談しましょう。顧問弁護士に対し、カスハラ加害者への対応・従業員へのフォローについて会社として希望することがあれば、一緒に伝えるべきです。これによって、あなたの会社に有益な対応をとることができます。

 更に、弁護士であれば、様々な法的対応(民事訴訟、刑事告訴など)を視野に入れながら必要な証拠を指摘し(あるいは現在手元に揃っている証拠を吟味し)ながら、助言をしてくれます。カスハラ対応には、これ以上頼もしい専門家はいないでしょう。

カスハラ行為で成立する犯罪とは?

 ちなみにカスハラ行為で成立する犯罪にはどのようなものがあるでしょうか。

名誉毀損罪

 カスハラ加害者が、会社・従業員についてその名誉を害するような事実を一般に公表・流布すると、名誉毀損罪が成立する可能性があります。

侮辱罪

 他方で、事実に当たらないものの、侮辱的な内容を一般に公表・流布すると、侮辱罪が成立する可能性があります。

脅迫罪

 また、カスハラ加害者が、会社・従業員の生命・身体・名誉・財産を害するような内容を告げてきた場合には、脅迫罪が成立する可能性があります。

強要罪

 上記のような事実を告げて、更に土下座などのなにがしかの行為を強制してきた場合には、強要罪が成立する可能性があります。

業務妨害罪

 更に、上記のような各種行為によって会社の営業を妨害した場合には、威力業務妨害罪が成立する可能性があります。威力業務妨害は、長時間の電話を繰り返すような行為にも成立します。

器物損壊罪

 会社・従業員の所持品等を壊した場合には、器物損壊罪が成立する可能性がります。但し、器物損壊罪は親告罪ですので、犯罪として立件してもらい起訴を求める場合には、告訴手続が必要となります。

不退去罪

 上述したとおり、カスハラ加害者が事業所からの退去を拒んだ場合には、不退去罪が成立する可能性があります。

弁護士に依頼すべきカスハラのケース

 さて、ここで、そもそも弁護士依頼するべきカスハラケースをご紹介します。

損害賠償請求

 まずは、カスハラによって会社・従業員が被った損害の賠償を請求するケースです。

 損害賠償請求をする場合には、相手方との交渉・民事訴訟を行う必要があります。しかしながら相手方はカスハラ加害者です。このような相手方に対して会社・従業員が直接交渉をすることは、更なるカスハラ行為・加害行為を招きかねません。

 このような場合には、法律専門家である弁護士に依頼するべきといえるでしょう。もちろん弁護士は裁判の専門家でもありますので、民事裁判になってしまった場合にも、適切に攻撃防御を尽くしてくれるでしょう。

刑事告訴

 次に、刑事告訴を検討するケースです。

 この場合には、どれだけ具体的な証拠を確保できたかが肝要となります。まさに犯罪事実を構成する事情を証拠から明示できる必要があるのです。この際にどのような内容の証拠がどの程度存在すればよいかは、弁護士が専門的に判断するべき事項となります。実際、刑事告訴について弁護士に依頼するか否かで、刑事告訴の成功確率は大きく変わります。

 この場合にも、弁護士にカスハラ対応を依頼するべきといえます。

被害の長期化

 また、被害が長期化している場合も、会社・従業員が自ら対応するのでは事態が解決しませんから、弁護士にカスハラ対応を任せてしまうべきといえます。

 カスハラ加害者は、第三者(特に弁護士等の法的対応ができる第三者)が出てくるだけでも、その威勢を失うものがいますので、弁護士に依頼するだけで早期解決が図れる場合もあります。ぜひ、このような場合には、弁護士に頼ってみてください。

カスハラを受けた企業が弁護士に依頼するメリット

 さて、カスハラを受けた企業がカスハラ対応を弁護士に任せることには、どのようなメリットがあるでしょう。

迅速で的確な対応

 まずは、迅速で的確な対応を取ってもらえるということが挙げられます。

 弁護士は法律の専門家です。弁護士に相談・依頼することで、弁護士は迅速に、活法的に的確な対応をとってくれるでしょう。特にカスハラ対応になれた弁護士、企業法務・顧問弁護に習熟した弁護士に依頼することができれば、カスハラに対する第一次的な対応は充分なものとなるでしょう。

企業リスクの最小化

 次に、企業リスクを最小化できることも挙げられます。

 会社にとってカスハラ対応に失敗すると、従業員の退職リスク、従業員から会社の責任を追及されるリスク、カスハラ加害者に対応をSNS等に挙げられるレピュテーション・リスクなど、多くのリスクが生じます。これらのリスクの大半は法律問題です。

 弁護士にカスハラ対応を依頼することで、弁護士が法的視点をもって対応に当たることとなれば、上記リスクが大きく減少し、企業リスクを最小化することができるといえます。

カスハラ対策のアドバイス

 また、カスハラ対策(事前の対策を含みます。)について適切なアドバイスを得ることができることも魅力的なメリットでしょう。

 上記のとおり、カスハラ対策としては、従業員教育・研修の充実化に加え、そもそもの証拠収集システム導入など、幅広い視点でミクロ・マクロな位置から対応を講じていく必要があります。これらの対応について、カスハラ問題になれた弁護士から助言を得ることができれば、安心です。

精神的な負担の軽減

 このように、弁護士に対応を任せることで企業として(そしてひいては個々の労働者として)安心した営業活動が行えることは、大きなメリットです。

 カスハラ対応は、現場の職員から上司・経営層まで含め、大きな精神的負担を伴うものです。これらの対策を弁護士に依頼することができれば、営業活動に集中して利益を最大化することも期待できるでしょう。

まとめ

 さて、以上のとおり、カスハラを受けた際の対応とカスハラ対策についてご説明してきました。カスハラ対策について少しでもお役に立つことができれば幸いです。

 当事務所には、多くの企業顧問を務める経験から、カスハラ問題についてのノウハウも蓄積しています。ぜひ、カスハラ問題・顧問弁護士についてお悩みの場合には、当事務所にご相談ください。

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【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

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監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

本店所在地
〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目1-35 サンセルモ大門ビル4階
連絡先
[代表電話] 03-6432-9783
[相談予約受付] 0120-100-129
WEBサイト
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