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企業法務コラム

建物明渡の強制執行手続きについて

投稿日:
更新日:2024/11/21

家賃の滞納などが発生して明け渡しに関する強制執行を行う場合、賃借人に対して内容証明郵便を送り、賃貸者契約を解除した上で、建物明渡請求訴訟を起こします。

建物明渡請求訴訟で勝訴判決を取得した場合であっても、それだけで賃貸人が勝手に鍵を替えたり、賃借人の荷物を運び出したりすることはできません。

賃借人は、賃貸人に対し、「建物を明け渡せ」との判決を取得後も、賃借人が退去しない場合には、「強制執行」の手続きをとる必要があります。

そこで、今回は、判決取得後に賃貸人がとるべき手続きについてご説明します。

1.建物明渡の勝訴判決の取得後の対応

賃貸人が賃借人に対し、建物明渡請求訴訟を提起し、勝訴判決(建物明渡を認める判決)を取得したとします。

判決主文には、明渡しを認めるとともに、「仮に執行することができる」との仮執行宣言が付される場合と付されない場合があります。

(1)仮執行宣言が付された場合

判決は、当事者双方の控訴期間が経過した時点、すなわち各当事者について判決書の送達を受けた日から2週間が経過したときに確定します(民事訴訟法285条)。

しかし、明渡しについての仮執行宣言が付されている場合には、判決が確定する前にその強制執行の申立をすることができます。

強制執行の申立には、
①判決書(債務名義)
②執行文
③送達証明書
が必要です。

執行文付与と送達証明書は、明渡訴訟を行った裁判所(書記官)に申請します。執行文は300円の収入印紙、送達証明書は150円の収入印紙が必要です。

被告(賃借人)に判決が送達された後、判決が確定する前でも、執行文と送達証明書を取得することができます。

(2)仮執行宣言が付されなかった場合

この場合は、判決が確定するまでの間は、強制執行の申立をすることができません。そのため、仮に賃借人が控訴した場合には、控訴審での審理の間は強制執行ができなくなります。

仮執行宣言が付されなかった場合の強制執行の申立には、
①判決書(債務名義)
②執行文
③確定証明書
が必要です。

執行文付与と確定証明書は、明渡訴訟を行った裁判所(書記官)に申請します。執行文は300円の収入印紙、確定証明書は150円の収入印紙が必要です。

2.建物明渡に関する強制執行の申立

強制執行は、次の書類をもって賃貸物件の所在地を管轄する地方裁判所の執行官室に申立を行います。

①強制執行申立書
②執行文の付された判決正本
③送達証明書又は確定証明書
④物件目録、当事者目録
⑤債務者に関する調査表(氏名、性別、年齢、在宅状況、職業等の状況をわかる範囲で記載します。)
⑥執行場所の案内図(最寄り駅から強制執行の対象物件までの経路がわかる地図など)

3.建物明渡に関する強制執行の予納金と執行官面接

申立時に、保管金提出書と面接票が交付されますので、保管金を納め、執行官面接を行います。

東京地方裁判所では、保管金(予納金)65000円、執行官面接は午前8時50分から9時20分の間に行なわれます。

4.強制執行の催告期日の実施内容

執行官面接で、催告日が決定されます。

ここで決定した日時に、
・執行官立会人
・執行補助者(運送業者)
・鍵解錠技術者
などが強制執行対象物件に赴きます。

このとき、賃借人(債務者)が不在の場合や、鍵を開けない場合であっても、強制的に鍵を開けて対象物件内に立ち入ることができます。

対象物件内では、執行補助者が部屋に置かれている物やその量を確認し、明渡作業にかかる費用の見積りを行います。

強制執行を断行する時間は限られているため、荷物が多ければ、手配しなければならない人員も多くなり、費用がかさみます。また、催告日の執行補助者の費用(日当)は、執行予納金には含まれません

強制執行期日(断行日)や注意事項を記載した催告書・公示書を対象物件内の壁に貼ります

5.強制執行期日(断行日)の実施内容

定められた強制執行期日までに、賃借人(債務者)が明け渡さなかったときは、明渡しを断行することとなります。指定された日時に執行官、立会人、執行補助者(運送業者)、鍵解錠技術者などが対象物件に赴きます。

このときも、賃借人(債務者)が、鍵を開けない場合であっても、強制的に鍵を開けて対象物件内に立ち入ることができます。

ここで荷物が残されていた場合には、手配していた作業員が、対象物件内にある荷物を運び出します。これらの作業が終わり、執行官から賃貸人(債権者)に対象物件が引き渡されれば、終了です。

なお、強制執行の手続で最も費用がかかるのは、この運び出しの費用(作業員日当、トラック代、処分費、保管費など)です。

6.強制執行後にやっておくべきこと

①鍵の交換

鍵をそのままにしていると退去させた滞納者が侵入する可能性があります。強制執行後は、鍵の交換を行いましょう。

②滞納した家賃や強制執行の費用の請求

滞納した家賃や強制執行の費用を請求することが可能です。 ただし、滞納者の行方がわからなくならないように連絡先は確実に把握しておきましょう。

③建物の掃除・修繕

必要に応じて建屋の清掃や修繕を実施し、次の賃借人への引き渡し準備を行いましょう。

7.家賃滞納などに対する建物明渡でお困りの方は弁護士法人グレイスへ

家賃の滞納などでお困りの不動産会社・管理会社の方は、弁護士に依頼することで、建物の明渡に関する交渉や強制執行のサポートを受け、ご負担を最小限に抑えることができます。

家賃の滞納・建物の強制執行などでお困りの方は、弁護士法人グレイスへお問い合わせください。

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【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

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監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

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〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目1-35 サンセルモ大門ビル4階
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