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企業法務コラム

2. 著作権について【知的財産】

投稿日:2019/10/06
更新日:2023/11/16

(1)著作権法の仕組み

著作権法は特許法と違って条文構造が体系的に理解しやすくなっています。

まず著作物を定義づけ(著作権法10条から13条まで)、著作者を定義づけたうえ(著作権法14条から16条まで)、著作権法17条から29条までで、著作者が一般的に有する権利の内容を規定しています。そして、著作権法30条から50条までで、著作者の権利が制限される例外事由をピックアップしているのです。

差止請求権の規定(著作権法112条)、みなし侵害規定(同法113条)、損害額推定規定(114条)等も重要な規程なのですが、ここでは割愛します。

(2)著作物

著作物とは、思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものをいいます(著作権法2条1項1号)。

イメージをしやすいのは芸術作品ですが、芸術作品にとどまらず、単なる会社のロゴや書体なども著作物に該当することがあります。

また、大量生産される工芸品についても、主観的な政策目的を除外して客観的外形的に見て、実用目的のために美の表現において実質的制約を受けることなく、専ら美の表現を追求して製作したものと認められ、純粋な美術作品と同視し得るほどの創作性を有するものは、仮に大量生産される工芸品であったとしても、美術の著作物として著作権法で保護されることがあります(長崎地判佐世保支部昭和47年(ヨ)第53号 神戸地判姫路支部昭和49年(ワ)第291号、東京地判昭和51年(ワ)第10039号等)。

平たく申し上げると、創作性(個人の独自性と言い換えてもいいかもしれません)が表れているものについては、広く著作物性を認める傾向にあります。

その一方で、創作性が薄い表現に関しては、一旦著作物性を認めたうえで、権利侵害の有無を厳しく検討する傾向にあります。

なお、大量生産される工芸品のうち、美観を起こさせる程度に創作性を発揮したものであるならば、意匠権の保護範囲に含まれますので、別ページにて解説する意匠権の設定登録を受けることをおすすめします。

(3)著作者と著作者が有する権利の内容

著作物を創作した者を著作者といいます(2条1項2号)。

著作者は、著作権と総称される権利と著作者人格権と総称される権利を有しています。

「著作者」と「著作権者」の違い

「著作者」と「著作権者」は似て非なる概念で、前者は著作権と著作者人格権が原始的に帰属しますが、後者は単に著作権を有するものをいいます(著作権と異なり著作者人格権は譲渡することができませんので、著作権者と著作者が同一でない限り、著作権者が著作者人格権を有することはありません)。

著作権とは

著作権とは、複製権(著作権法21条)、上演権、演奏権(ともに法22条)、上映権(法22条の2)、公衆送信権(法23条)、口述権(法24条)、展示権(法25条)、頒布権(法26条)、譲渡権(法26条の2)、貸与権(法26条の3)、翻訳権、翻案権等(ともに法27条)に大きく区分けされます。

元の著作物に手を加えて新たな創作性を発揮させた場合の新たな著作物を二次的著作物といいますが、この二次的著作物を創作した者にも著作権と著作者人格権は付与されます(原著作物の著作権者による権利行使の制約を受けますが)。

著作者人格権とは

一方、著著作者人格権とは、公表権(法18条)、氏名表示権(法19条)、同一性保持権(法20条)に大きく区分けされます。

この著作権と著作者人格権はともに、著作者に原始的に帰属します。

職務著作について

職務上従業員が作成した著作物、いわゆる「職務著作」であっても、「職務著作」の要件を満たせば、会社が著作者となって著作権と著作者人格権が原始的に帰属します。「職務著作」の要件を満たさなければ当該従業員が著作者となって著作権と著作者人格権が原始的に帰属します。

例外的に、映画の著作物(いわゆる映画だけでなく、アニメやアニメーションを用いたゲームソフトも映画の著作物に該当します)の場合には、著作者に著作権が原始的に帰属し、映画製作者なる者に著作者人格権が原始的に帰属します。

これ以上の詳論は避けますが、もし著作権や著作者人格権の帰属について紛争が生じた場合、または紛争が生じる可能性がある場合には、直ちに弁護士に相談されることをおすすめします。

(4)著作者の権利行使の制限事由

著作権者は、外形的に著作権侵害行為とみられる行為を発見したとしても、直ちにその全てについて権利行使することができるわけではありません

著作者等の権利を保護する目的はあくまでも「文化の発展に寄与することを目的とする」ものであり、「文化的所産の公正な利用に留意」しなければならないからです(法1条)。
その観点から、法30条から法50条までで、著作者の権利行使が制限される例外的事由や例外の例外事由を定めています。

具体的には、

  • 私的使用のための複製(法30条)
  • 付随対象著作物の複製(法30条の2)
  • 検討過程における利用(法30条の3)
  • 技術開発や実用化のための試験の用に供するための利用(法30条の4)
  • 図書館等における複製(法31条)
  • 引用(法32条)
  • 教科用図書等への掲載(法33条、法33条の2)
  • 学校教育番組の放送等(法34条)
  • 学校その他の教育機関における複製等(法35条)
  • 試験問題としての複製等(法36条)
  • 視覚障害者等のための複製等(法37条)
  • 聴覚障害者等のための複製等(法37条の2)
  • 非営利目的の上演等(法38条)
  • 時事問題に関する論説の転載等(法39条)
  • 政治上の演説等の利用(法40条)
  • 時事の事件の報道のための利用(法41条)
  • 裁判手続等における複製(法42条)
  • 行政機関情報公開法等による開示のための利用(法42条の2)
  • 公文書管理法等による保存等のための利用(法42条の3)
  • 国立国会図書館法によるインターネット資料及びオンライン資料の収集のための複製(法42条の4)
  • 翻訳等による利用(法43条)
  • 放送事業者等による一時的固定(法44条)
  • 美術の著作物の原作品の所有者による展示(法45条)
  • 公開の美術の著作物等の利用(法46条)
  • 美術の著作物等の展示に伴う複製(法47条)
  • 美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等(法47条の2)
  • プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等(法47条の3)
  • 修理等のための一時的複製(法47条の4)
  • 送信の障害の防止等のための複製(法47条の5)
  • 送信可能化された情報の送信元識別符号の検索等のための複製等(法47条の6)
  • 情報解析のための複製等(法47条の7)
  • 電子計算機における著作物の利用に伴う複製(法47条の8)
  • 情報通信技術を利用した情報提供の準備に必要な情報処理のための利用(法47条の9)
  • 複製権の制限により作成された複製物の目的内譲渡(法47条の10)

といった条項が挙げられています。

著作権は特許権と違って登録を要するものではなく産業財産権には分類されていません(産業財産権とは、知的財産権のうち特許権、実用新案権、意匠権、商標権の4つをいいます)。また、産業財産権と比較して、一部の事業者の方を除いて、事業に活用しにくいかもしれません。

しかしながら、前述のとおり、創作性(個人の独自性と言い換えてもいいかもしれません)が表れているものについては、広く著作物性を認める傾向にありますので、色々な契約書を作るときに必ず意識しなければならない法律関係の一つといえます(例えば事業譲渡契約書)。

また、例えばコンテンツビジネスを展開される方など、一部の事業者の方にとっては著作権の取り決めは企業の命運を左右すると言っても過言ではないでしょう。

このページをご覧になって、著作権のことをもっと知りたいとお思いになった方は、一度当事務所にご相談にお越しください。

監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

本店所在地
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