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企業法務コラム

マタハラを防止するために事業主が負う義務

投稿日:
更新日:2022/07/12
マタハラを防止するために事業主が負う義務

1. マタハラとは何か

マタハラとは何か

ハラスメントで代表的なものは、セクシャルハラスメントとパワーハラスメントかと思います。近年では、さらにこれら2つのハラスメントに加えてマタニティーハラスメントも問題となっています。

マタニティーハラスメント(以下「マタハラ」といいます)について、一般的に妊娠、出産及び育児等を理由とする、事業主からの解雇・雇止め・降給などの不利益取扱いを意味すると考えられています。

また、育児に関するハラスメントも含まれることから、女性だけでなく男性労働者についてマタハラが問題となることもあります。

2. マタハラの禁止及びマタハラ防止措置義務の存在

2-1. 不利益取扱いの禁止について

不利益取扱いの禁止について

まず、法律上、妊娠、出産、育児及び介護等の制度利用等を理由とした不利益な取り扱いが禁止されています。

例えば、副主任の職位にあった被用者が、妊娠中の軽易な業務への転換に際して副主任を外され、育児休業の終了後も副主任に任ぜられなかったという事案において、原則として、妊娠中の軽易作業への転換を契機に降格させるのは違法であるとし、特段の事情の存在があって初めて同降格は適法とした判例が存在します。

2-2. マタハラ防止措置義務について

2-2-1. マタハラ防止措置に関する規定
マタハラ防止措置に関する規定

事業主は、不利益な取扱いの禁止だけではなく、マタハラ防止措置義務が課されています。

具体的には、事業主は、職場において行われる女性労働者に対する当該女性労働者が以下の事項に関する言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう当該女性労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければなりません。

  • ① 妊娠したこと
  • ② 出産したこと
  • ③ 産前産後休業を請求し、同休業をしたこと
  • ④ その他の妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるもの

また、育児休業については、事業主は、職場において行われるその雇用する労働者に対する以下の事項に関する言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければなりません。

  • ① 育児休業
  • ② 介護休業
  • ③ その他の子の養育
  • ④ 家族の介護に関する厚生労働省令で定める制度又は措置の利用

なお、ここでいう厚生労働省令で定めるものに関する言動には、制度等の利用への嫌がらせと妊娠したことや出産したこと等に対する嫌がらせが含まれます。

制度等の利用への嫌がらせは例えば、育児休業を申請したことに対して「忙しい時に勘弁してくれ。」といった発言が考えられます。次に、妊娠したことや出産したこと等に対する嫌がらせとは例えば、「入社したばかりで妊娠するなんて、何を考えているんだ。」といった発言が考えられます。

2-2-2. マタハラ防止措置の具体的内容

以上のマタハラ防止措置については、厚生労働省の指針が公布されており、その中で事業主が講ずべきマタハラ防止措置の具体的内容を以下のとおり定めています。

  • ① 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発(就業規則の整備等)
  • ② 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備(相談窓口を設置し、担当者が適切に相談に対応できるようなマニュアル等の整備)
  • ③ 職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントにかかる事後の迅速かつ適切な対応(事実関係の確認及びその後の措置)
  • ④ 職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの原因や背景となる原因を解消するための措置(業務分担の見直し等)
  • ⑤ 上記①~④の措置と併せて講ずべき措置(相談者、行為者等のプライバシー保護や事実確認に協力したことを理由とする不利益な取り扱いの禁止の周知等)

2-3. マタハラが生じた場合の責任について

2-3-1. 使用者の責任
使用者の責任

妊娠、出産及び育児等に関連した不利益な取扱いの禁止規定に違反する不利益な取扱いは無効となり、使用者はこれに基づいた請求を受けることなります。例えば、不利益な取扱いにあたる解雇の場合には、地位確認請求及び未払賃金の請求を受けることになります。

また、不利益な取扱いによって被害者が財産的又は精神的損害を受けた場合には、これらを理由とする損害賠償請求も受けることになります。

さらに、従業員が言動によるマタハラを行った場合には、使用者責任に基づく損害賠償請求又は労働契約上の安全配慮義務違反を理由とする損害賠償請求を受ける可能性もあります。

2-3-2. 加害者の責任

従業員等の言動によるマタハラについては、加害者は損害賠償請求を受けることになります。

3. まとめ

企業においては、優秀な人材の流出を防ぐ意味でもマタハラを予防することが重要であり、さらに出産や産前産後休業を請求した従業員に対する措置についてはマタハラに該当しないよう慎重に検討する必要があります。また、ふとした一言がマタハラと判断される可能性もあり、従業員のマタハラへの意識を高めることも重要となってきます。

当事務所では企業法務に特化した弁護士が在籍し、ハラスメント全般に対する研修もいたします。是非マタハラについてご相談いただければと思います。

【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

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監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

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〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目1-35 サンセルモ大門ビル4階
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