企業法務コラム
カスタマーハラスメントについて

1. カスタマーハラスメントとは
カスタマーハラスメントとは、消費者、顧客、社外の労働者等(カスタマー)から、従業員に対し、著しい迷惑行為、悪質なクレーム、パワーハラスメント、セクシャルハラスメントなどの行為のことをいいます。
昨今、従業員に対する消費者、顧客等からのカスタマーハラスメントが社会問題として認知されてきています。「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」報告書(厚生労働省平成30年3月)にも、「顧客や取引先からの著しい迷惑行為」を、労働者に大きなストレスを与える悪質なものがあり無視できない状況にあるという問題が提起されています。
そこで今回は、カスタマーハラスメントに対し企業が考え得る対応策についてご説明します。
2. 事実の確認
まずは顧客等の顧客の住所、氏名、連絡先等の基本的な情報と、意見の内容を正確に聞き取ることが重要です。これをもとに、事実関係を証拠・証言をもとに確認します。この手続き中にも顧客等の対応に問題がある場合には、複数名で対応し録音、録画等など後の証拠になるものを残しておくことが有用です。
3. 被害従業員の保護
カスタマーハラスメントは、会社内のパワーハラスメント等とは状況は異なりますが、会社としては、従業員の労働環境配慮義務を負っていますので、顧客等からの著しい迷惑行為等に対しても、ケースに応じて適切な配慮措置を講じることが必要です。
具体的には、被害を受けた従業員を1人で対応させず、複数名で援助すること、そもそも当該顧客等を引き離すこと、メンタルヘルス対応措置を講じることがあげられます。
4. 当該顧客等に対する対応
事実関係からして、当該顧客等の要求が不当であり、著しい迷惑行為である場合には、企業として毅然とした対応をすることが必要です。
例えば、顧客等の発言内容、行為等によっては、脅迫罪、恐喝罪、強要罪、威力業務妨害罪などに該当する場合もあり得ます。また、刑事事件にあたらないまでも、暴言等の行為態様によって、身体的・精神的苦痛を受けたことを理由に、当該顧客等に損害賠償請求ができる場合もあります。
実際にそのような場合を想定していることを、当該顧客等に示すことが、カスタマーハラスメントに対する対応として有効性が高いものです。弁護士の介入によって、企業として不当要求に屈せず、従業員を守ることもできます。
5. カスタマーハラスメント対応の指針策定
企業として、どのような行為がカスタマーハラスメントに該当するのか、その指標をもって従業員らと共有しておくこと、カスタマーハラスメント発生時にどのようなフローで対応するのかを明確化しておくことは非常に大切です。
カスタマーハラスメントに関しては、受けることが想定される行為態様や対応策は業種別で異なります。問題が発生する前に、弁護士に相談し、会社の特性に応じた指針の策定をご検討ください。
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