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企業法務コラム

契約書を検討するうえで重要なポイントを弁護士が分かりやすく解説します

2021/06/02
契約書を検討するうえで重要なポイントを弁護士が分かりやすく解説します

1. 契約書を作成・締結することの必要性

取引先と契約を締結するにあたり、契約書を取り交わすか否かから議論されることがあります。これは、契約のうちの大部分は必ずしも書面によることなく口頭でも成立するためです。それでも契約書を作成することは非常に重要です。なぜ、契約書を作成することが必要なのか簡単に理由を説明します。

① 確たる証拠となる

多くの契約は口頭で成立するといっても、後になって紛争が生じるケースがあります。紛争に発展すると、そもそも「そのような契約内容ではなかった」と争われるだけでなく、「そのような契約自体存在しなかった」と争われるケースすら存在します。ところが、契約書にしておくと、契約の存在のみならず、契約内容についての確たる証拠となるため、紛争を未然に防ぐことができます。

② 合意内容を十分検討する機会が持てる

契約をするにあたって、どのような契約内容とするかを契約当事者それぞれが十分に検討する機会を持つことは重要です。契約書を作成し、当事者双方がこれにサインをするということは、「そのような機会が与えられていた」ことの間接的な証拠にもなります。そのため、紛争になってから、一方当事者による「契約内容の説明を十分に受けなかった」とか「そのような契約内容である認識していなかった」と言い分を許さない証拠にもなります。

③ 信用力が上がる

個人・法人を問わず、取引のつど契約書をきちんと作成すれば、その個人・法人の信用力は高まります。このことは、取引の相手方を選定する場合に、取引のつど契約書を提示する相手方と、口頭に終始し契約書を作成しない相手方とでは、前者の方が信用できることは通常の感覚からもお分かりかと思います。

2. よりよい契約書とするためのポイント

契約書を作成したり、一方当事者から提案された契約書を検討したりする際に注意しておくべき代表的なポイントについて説明いたします。

① 一方当事者の利益や責任の分担に偏りがないか

契約は当事者間が対等な立場で締結することが理想といえます。ところが、現実の契約の中には、明らかに責任(リスク)が一方当事者のみに偏っていたり、利益が集中していたりするものが存在します。法律の中には、そのような一方当事者のみに不利となる約定を無効とするものも存在しますが、法律のみに委ねることは決して万全ではなく、法律上の規制が及ばない不利益条項を盛り込んだ契約は非常によく見かけます。そのため、両者にとって公平な契約内容になっているか、あるいは、自分に対してのみ過大なリスクを負わされている契約内容になっていないかをチェックする必要があります。

② 契約内容が一義的に明確であるか

契約条項の中には、いくつもの解釈があり得るものが存在するケースがあります。解釈の余地が大きい条項が含まれていればいるほど、紛争となるリスクが高いといえます。

例えば、契約書の中に「AはBに対し、Bから請求を受けてから相当期間の間に義務履行しなければ、Bは本契約を解除できる」という定めが存在したとします。この場合、「相当期間」とはどの程度を指すのかについて解釈の余地があることがお分かりかと思います。

あるいは、「本建物の主要部分についての修繕は甲が費用を負担して行い、それ以外の修繕は乙が費用を負担して行う」との規定があったとします。この規定も明確なようですが、「本建物の主要部分」とは何を指すのか、何が主要で何が主要でないのか、という解釈の余地があります。

このように、契約書における条項は、客観的に明確な基準であればあるほど望ましく、一方当事者の主観が基準となっていたり、評価を伴う文言が存在するほど、契約書としては修正する必要性が高くなることが多いです。

③ 責任や義務の範囲に上限が設けられているか

契約書は契約当事者双方の権利義務関係を定めるものです。と同時に、契約内容は当事者間が自由に決められるのが原則です。

ところが、自由ゆえに、当事者の責任が無限定に定められていたり、あまりに過大な損害賠償額が予定されていたりするケースがあります。近時、民法の改正により保証人が負う保証債務の極度額に関する規定が定められましたが、これもそのような過大な義務や責任を負うことを防止・規制するものであるといえます。

当事者間で自由に契約内容を決定できるからこそ、契約書に定められている権利義務の範囲や上限についてはしっかりチェックすることが重要になります。

④ 真に権利の実現を可能とする条項となっているか

一見、契約書としての体をなしているかのように見えるが、実際には当事者の権利行使が十分にできないものをよく見かけます。これは専門家たる法律家による知見が特に必要な視点となります。

例えば、金銭の貸し借りの際に取り交わした契約書が次のような条項だけだったと仮定します。

  • 第1条 甲は、1月1日、乙に対し、金10万円を貸し付けた。
  • 第2条 乙は、甲に対し、上記金員を1月から10月まで毎月末日限り1万円ずつ返還しなければならない。

この契約書を交わした後、乙が3回目の支払期日(3月31日支払分)から甲への返還を怠ったとします。甲としては、返済期限を守らない乙に対し、直ちに残りの全額の支払いを求めたいところですが、この契約書を前提とする限りは全額の支払いを即時に求めることはできません。なぜなら、「乙が1度でも返済を怠った場合には、期限の利益を喪失し、甲は残額を一括請求できる」旨の定めがないためです。これを期限の利益喪失条項といいます。

このように紛争がいざ起きた場合に、自らの想定する権利実現が果たして可能なのかという観点から契約書を作成することが重要です。

以上は、契約書のポイントのほんの一例にすぎませんが、たかが契約書とあなどると、後になって非常に大きな負担となってしまう可能性があることから、契約書の慎重な検討は不可欠といえます。

このコラムの著者

大武 英司 - OHTAKE EIJI -

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