企業法務コラム
弁護士が教える、契約書の必要性と弁護士が契約書を作成するメリット
更新日:2023/12/21
どのような企業であっても、企業活動を行う限り、様々な契約を締結する場面に遭遇します。売買契約、金銭消費貸借契約、雇用契約、土地建物賃貸借契約、業務委託契約、など、契約書の種類も多岐に渡ります。
しかし、契約書が大事だ、ということはわかっていても、実際にはどのような場面で必要になるのか、また、どのような内容にすればよいのか、わかりづらい、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こちらのページでは、そもそも契約書とは何なのか、契約書の必要性とは何か、また弁護士に契約書を依頼するとどのようなメリットがあるのか、良い契約書とはどういったものなのか、といった点について、弁護士がわかりやすく解説いたします。
1. そもそも「契約書」とは?
「契約書」とは、簡単にいえば「契約」内容が記載された書面です。もっとも、日本の民法では、保証契約等一部の契約を除いて契約の成立には契約書の作成は要求されません。
しかし、単純なお金の貸し借りであればまだしも、企業間で成立する契約は通常複雑です。そのため、権利義務に加えてリスクの分担等の詳細な部分を契約書なしに当事者間の認識を一致させることは困難です。
また、実務上は、一度契約書を交わすと契約書に記載されている内容がそのまま契約内容であると扱われることになります。そのため、後から契約書に記載がある内容を覆すのは非常に困難です。
そのため、契約書を作成するということは、ある取引について各当事者の権利義務、リスクの分担及び回避について当事者の認識を合致させることであり、その後の紛争を予防することにも繋がります。
2. 「契約」と「契約書」の違い
「契約」とは、相対立する複数の意思表示の合致(合意)によって成立する法律行為をいいます。簡単にいえば、当事者間で特定の事柄についてする約束です。
そして、「契約書」とは、「契約」内容が記載された書面ということになります。
一度契約が成立すると、当事者間に債権債務が発生し、契約で定めた内容に拘束されます。もし、その契約内容を守らないと、その義務履行を裁判所を通じて強制されたり、損害賠償請求が認められたりすることになります。
3. 契約書の必要性
3-1. 当事者間の合意内容を明確にする
契約書を作成し、当事者間の合意内容を書面で明確にすることにより、契約内容に関する当事者間の誤解を防ぐことができ、その誤解から生じる紛争を予防することができます。
3-2. 書面化することにより、当事者がその合意内容をよく検討する機会を持つことができる
契約書を作成するためには、まず、契約の内容を確定する必要があります。そして、その内容を契約書に落とし込むことになります。そのため、契約内容を文書に落とし込む過程で契約内容を再考することになります。
また、当事者間で契約書の文言を確認することにより、リスク分担等権利義務以外の詳細な部分についても当事者間の認識が明確になります。
3-3. 合意内容の法律上の制限等の問題点を担当者以外でも検討することができる
契約書が存在しない場合、契約内容は当事者の頭の中にしかありません。そのため、当事者以外の者が契約の具体的内容を正確に把握することは簡単ではありません。
また、契約内容が書面化されることにより、第三者もその内容を検討できることから、多角的な視点で契約内容を検討することができます。
3-4. 法的手続となった場合に確たる証拠とすることができる
裁判上、契約書が存在する場合、原則として、そこに記載してある内容が当事者の合意した内容と判断されます。口約束だけでは契約内容に思い違いがあったり、時間の経過により記憶があいまいになるなど、当事者の供述はその信用が高くありません。
そのため、万が一、相手方とトラブルになった場合、相手方との契約内容を証明する重要な証拠となります。
4. 契約書の作成を弁護士に依頼するメリット
4-1. 紛争の予防ができること
契約書を作成する段階で、事前にリスクを洗い出し、そのリスクの負担や回避について契約書に条項を組み入れれば、リスクが顕在化したとしてもその条項をもとに当事者間で紛争を解決することができます。
また、契約書といっても、その類型は様々です。そして、契約類型ごとに特有の注意点や問題となりうる事由も異なります。そのため、専門家である弁護士に相談し、適切なリスクの分析がなされ、法的問題を含むリスクや問題が指摘されることにより、紛争の事前予防が可能となります。
4-2. 当事者の合意内容を契約書に正確に反映できること
ネットを検索すれば、さまざまな契約書の雛形を簡単に手に入れることができます。しかし、あくまで雛形はひな形に過ぎず、一般的な条項は含まれているもの、個別具体的な条件に対応できるものでないことが少なくありません。
当事者の合意内容を正確に文書化し、かつ、取引に内在するリスクを洗い出し、それを契約書という形にして初めて契約書としての役割が最大限発揮されることになります。
また、合意内容を契約書に落とし込む作業も専門家でなければ困難で時間を要する作業といえます。そのため、合意内容を正確に契約に反映するためには、専門家の力が必要となります。
4-3. 法令との適合性の判断ができること
原則として、どのような合意をするかは当事者の自由です。しかし、だからいってどのような合意も有効とは限りません。例えば、雇用契約書などは労働基準法との関係で特にその有効性に注意が必要です。
そこで法律の専門家である弁護士が契約書を作成することにより、契約書の有効性を担保することができます。
4-4. 当事者の立場に応じた契約書を作成することができること
契約書を作成する際は、当事者の立場により、契約条件を調整する必要があります。これは、全ての契約書においてあてはまります。
例えば、売買契約書のような典型的な契約書であっても、売主側であるか、買主側であるかにより、契約書の条件が変わります。売主側であれば、売った物に関する事後の責任をできるだけ限定したいと考える反面、買主側であれば、これと真逆のことを考えます。
このように、契約書を作成する際は、当事者の立ち位置を考慮したうえで、適切な契約条件を設定する必要がありますが、このような作業は、一般の方には困難であり、専門家である弁護士に依頼することにより、正確性を確保することができます。
5. 良い契約書作成のための指針
契約書の良し悪しを判断するにあたっては、以下の点が重要となります。契約書の内容を確認する際には、以下の点に留意していただければと思います。
- 契約当事者の真摯な協力関係が表れるようなものであること
- 責任等が一方的な当事者に偏っていないこと
- 契約内容が社会常識的に公正であること
- 社会的な常識から判断して、契約上の地位が高い者が自己の責任を逃れることを目的として契約ではないこと
- 契約事項が不可能を強いるものでないこと
- 契約内容が矛盾していないこと
- 契約文言が明確な定義ができるものであること
6. 当事務所が提供できるサービス
6-1. 対応できる契約書
当事務所では、様々な契約書の作成依頼にご対応しています。例えば、以下のような契約書の作成を行っています。
- 1. 不動産契約
-
- 土地建物売買契約書
- 建物賃貸借契約書
- 事業用定期借地権設定契約書
- 一時使用建物賃貸借契約書
- 定期建物賃貸借契約書
- 2. 商取引契約
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- 継続的売買契約書
- 販売店契約書
- 代理店契約書
- 業務提携契約書
- OEM契約書
- フランチャイズ契約書
- データ提供契約書
- 3. 委託・請負契約
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- システム開発委託契約書
- 製造委託契約書
- コンンサルタント契約書
- コンサルティング業務委託契約書
- 運送委託契約書
- 個人情報の取扱いに関する業務委託契約書
- 4. M&A・組織再編に関する契約
-
- 株式譲渡契約書
- 事業譲渡契約書
- 新設合併契約書
- 吸収合併契約書
- 株式交換契約書
- 吸収分割契約書
- 5. 人事労務契約
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- 労働(雇用)契約書
- 入社時誓約書
- 退職時誓約書
- 就業規則
- 6. 知的財産権・ライセンス契約
-
- 特許ライセンス契約書
- ノウハウライセンス契約書
- ソフトウェアライセンス契約書
- 商標ライセンス契約書
- 共同研究開発契約書
- 秘密保持契約書
- 特許権譲渡契約書
- 職務発明契約書
- 7. 金銭貸借・担保契約
-
- 金銭消費貸借契約書
- 準消費貸借契約書
- 保証契約書
- 保証委託契約書
- 動産譲渡担保設定契約書
- 債権譲渡担保設定契約書
- 仮登記担保設定契約書
- 債権譲渡契約書
その他、以上に挙げた契約書以外もご対応いたしますので、まずはご相談いただければと思います。
6-2. 契約書作成及びリーガルチェック費用
(1)作成費用
当事務所では、契約書作成について以下の費用でご依頼を受けています。ただし、契約書の内容により、費用は変動いたします。
(2)リーガルチェック費用
当事務所では、契約書のリーガルチェックについて以下の費用でご依頼を受けています。ただし、契約書の内容により、費用は変動いたします。
7. 顧問契約締結のメリット
弊事務所と顧問契約を締結いただけた場合は、契約書のリーガルチェック及び簡易な契約書の作成につきましては、一定のボリュームまでは顧問料の範囲内で作成し、別に費用は頂きません。
また、複雑な契約書につきましても、一般のご依頼と比較して安価にて対応させていただきます。
監修者
弁護士法人グレイス企業法務部
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