企業法務コラム
契約の自動更新についての注意点
更新日:2024/09/11
自動更新の条項が付いた契約書
飛び込みの電話営業等を受け、お得な条件で、かつ、契約期間も短期であったことからそのまま契約を締結したということが一度はあるのではないでしょうか。
そして、その後、当初想定していた契約期間が経過した後に、意に反した請求を契約の相手方から受けたということはないでしょうか。
そこで、申込書や規約を確認すると、契約期間について自動更新条項が定められていたことに気づくこともあるかと思います。本コラムでは、このような事態が生じないよう契約期間に関する注意点を説明させていただきます。
契約期間に関しては、契約書等に以下のような条項が定められていることが一般的です。
「本件契約の有効期間は、●年●月●日から●年間とする。ただし、期間満了の●ヶ月前までに、甲及び乙のいずれからも契約を終了する旨の書面による申出がなされない場合は、同一条件にてさらに●年間延長されるものとし、以後も同様とする。」
自動更新に関する注意点
前提として、「ただし」以下が契約期間の自動更新を定めたものであり、このように自動更新を定めた条項は有効です。そして、同条項について注意すべき点は主に2つです。
まず、「期間満了の●ヶ月前」という点に注意する必要があります。ここに定める期間内に契約を更新しない旨を契約の相手方に連絡をする必要があります。そのため、契約締結日及び契約終了日だけでなく、契約を終了する場合にいつまでに連絡をする必要があるかの管理を行っておく必要があります。
次に、更新拒絶の申し出方法についても注意が必要です。以上の例のように「書面」と方法が限定されている場合には、口頭で契約の相手方に伝えるのでは不十分ということになります。そのため、申し出の方法についても、契約締結前に確認しておき、書面などに限定されている場合には、その当否について検討し、場合によってはメール等による方法でも申し出が可能になるよう契約書を修正する必要があります。
自動更新を無効にできるのか
最後に、事業者間の取引においては、申込書等に自動更新に関する規定があるとは知らなかったといった言い分は基本的には通用しません。事業者が契約を結ぶ以上、当該契約によって当事者双方が拘束されるのはやむを得ない、事業を営む以上契約内容を理解していなかったで済まされない(そうした言い訳を許した場合、世の中の取引を巡る法律関係が著しく不安定になってしまう)という考慮があるためです。
そのため、契約を締結する際には契約期間に関する条項を確認することは必須といえます。もし、契約期間や自動更新等不安がございましたら、ぜひ契約締結前に弊所にご相談いただければ幸いです。
お悩みになったら一度弁護士にご相談ください
自動更新条項に事後的に気づかれた状況でも諦めるのは早いかもしれません。自動更新が付された契約のうち悪質性に高いものに関しては、事業者間の取引であっても信義則による無効主張を行うことなども考えられます。また、相手方が約束するサービスを提供していないような場合には、それを理由として解約主張を行うことも考えられます。ですので、契約締結後・自動更新後のトラブルであってもまずは一度弁護士に相談されてみることをお勧めいたします。
まとめ
以上、このコラムでは、事業者間の契約における自動更新をテーマに取り上げて解説を行いました。まとめますと、①契約前に自動更新の有無をしっかり確認する、②自動更新の存在に後から気づいた場合には信義則無効と言えるような契約の悪質性の有無と相手方の債務不履行を理由とする解約の可能性を検討する、ということが重要です。
契約の有効・無効や解約が認められるかは、法律家でなければ判断の難しい事柄ですので、弁護士にご相談されることをお勧めします。
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