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企業法務コラム

不当に下請業者が元請業者から費用を請求された際の対応について

投稿日:2021/03/31
更新日:2021/04/14

建設業

1. 建設業法及び下請法

元請業者がその優越的地位を利用して下請業者に対し不当な取扱いをすることは少なくありません。「不当な取扱い」の中には種々の態様が考えられますが、その中でも特に類型的に多いものは、建設業法や下請法といった法律により規制されています。建築関係においては建設業法が、特定の業務委託契約関係においては下請法が、それぞれ適用の対象になっております。

2. 法令によって元請業者に禁止される行為

下請業者が元請業者から不当に費用を請求される事案として、建設業法が禁止する行為に該当しやすいものとしては、①明確な見積条件の提示がない場合、②不当に低い請負代金が設定される場合、③使用資材等の購入を不当に強制される場合等、様々なものが挙げられます。

以下で、個々について説明いたします。

3. 明確な見積条件の提示がないケース

建設業法には、建設工事の請負契約の当事者に対し、請負契約書の作成を義務付けており、元請業者が最低限明示すべき事項が規定されております。また、元請業者が下請業者に見積を依頼する際、工事内容や契約条件等をできるだけ具体的に示さなければなりません。

このような提示が元請業者からなされないまま下請契約の締結を求められることは、下請業者に適正な見積もりの機会が与えられているとはいえず、下請業者からの問い合わせに対し、元請業者は明確な回答をする義務があります。

4. 不当に低い請負代金が設定されるケース

元請業者が、自己の取引上の地位を利用し、かつ、その建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金とする場合には、法が禁止する「不当に低い請負代金」に該当することになります。

また、「不当に低い請負代金」とは異なりますが、これと同じような処理として、元請業者が一定の費用を請負代金の支払時に差し引くものがあります。これを「赤伝処理」といいますが、具体的には、下請代金の支払いに関して発生する諸費用や、建設廃棄物の処理費用、安全協力会費等が挙げられます。これらの費用は一方的に下請代金から控除することは許されておらず、下請業者の同意がない場合や、控除される諸費用の内容・条件等の明示がない場合は建設業法に違反することとなります。

5. 使用資材等の購入を不当に強制されるケース

元請業者が下請業者に対し、下請契約締結後に、建設工事に使用する資材等を指定して購入させたり、資材等の購入先を指定して購入させることも禁止されております。これらが禁止されているのは、下請業者が従前から継続的に取引してきた資材等の納入業者との関係を悪化させたり、安い価格で資材等を仕入れることを見越して安い金額で受注したにもかかわらず、想定外の高い金額で仕入れなければならなくなるなど、下請業者の利益が不当に害されるのを防止するためです。

6. 救済手続

上記の各ケースに代表される建設業法違反がある場合には、国土交通大臣、都道府県知事あるいは中小企業庁長官が公正取引委員会に対し措置要求ができるものとされています。また、公共団体が定める入札参加者資格者の指名停止基準において、指名停止要件として建設業法違反行為が挙げられています。

もし元請業者による建設業法違反の事実があった場合には、このような救済手続に出ることも下請業者自身の保護を図るうえで必要な場合があります。弁護士等にご相談のうえ、このような救済手続も駆使することにより、解決の途が開かれることも非常に多いです。

監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

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