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企業法務コラム

業務委託契約について

投稿日:2019/10/20
更新日:2023/12/21
業務委託契約について

1. 業務委託契約について

業務委託契約は、秘密保持契約と並んでもっとも汎用される契約の一つですが、委託する業務の内容により、内容が異なり得ます

典型的なものとしては、

  • ① 月次で決まった業務を提供するもの
  • ② 一定の期限までに何らかの成果物を作成するもの

に分かれます。②は、報告書のようなレポート形式での提出によるものが典型的です。

業務委託契約について

なお、契約書の表題としては、業務委託契約になっていても、実質的に見ると、売買契約/請負契約に分類するほうが適切と思われるパターンも散見されます。例えば、一定期限までに、指定された数量の製品・部品を納品するような場合です。

このようなパターンは、業務委託というよりも、売買/請負に近くなりますので、契約の構成も売買契約/請負契約に近接します。このようなパターンは、むしろ、売買/請負契約の構成を採用すべきです。

このような基本的な視点を踏まえて、①・②の意味での一般的な業務委託契約は、以下のような構成になります。

2. 一般的な業務委託契約の構成

2-1. 前文

業務を委託する側の名称、業務を受託する側の名称、委託する業務の目的を規定します。

2-2. 業務の内容

業務の内容、業務を行う期間等の基本的な事項を規定します。

2-3. 成果物の取り扱い

②のように、成果物が発生する場合は、成果物の取り扱いを規定します。具体的には、以下のとおりです。

  • 成果物を納入する前に、成果物の案(ドラフト)を提出するか。
  • 成果物に関する仕様が変更された場合の取り扱い。
  • 成果物を納品した後に、委託者が成果物の内容を検査する期間。
  • 成果物の検査の結果、内容が不十分であると判断された場合の対応方法。

2-4. 業務委託料の支払

業務委託契約について

委託する業務の内容により、異なります。

例えば、①であれば、月額の業務委託料と支払期限を定めることになります。

②の場合は、成果物の検収完了後に一括して業務委託料を受領するパターンが典型的ですが、業務の着手時に業務委託料の一部を前払いするパターンもあります。この点は、受託者の資金繰りにも影響します。

2-5. 業務の再委託

受託者が業務を外部に再委託する場合は、委託者の事前の承認を必要とすることが通常です。また、委託者が承認した場合でも、受託者は、この再委託先の責任を引き続き負うことが通常です。

2-6. 善管注意義務

受託者の義務として、善良なる管理者の注意義務をもって業務を行うこと、業務の遂行に関して適用される法令・監督官庁の告示・通達等を遵守する必要があることを規定することが通常です。

2-7. 知的財産権の取り扱い

業務委託契約について

②のように成果物が発生する場合には、成果物に関する知的財産権の取り扱いを規定する必要があります。例えば、成果物が報告書の形式による場合には、著作権の対象になり得ます。

成果物の著作権を委託者に移転させるのか、受託者に留保するのかについて、明確に定める必要があります。成果物の著作権を委託者に移転させる場合には、以下の点もポイントになります。

  • 「著作権法27条・28条の権利を含む」と明記すること。
  • 自ら成果物の著作者人格権を行使しない旨を規定すること。
  • 成果物の著作権の一部が第三者に帰属する場合は、当該第三者をして著作者人格権を行使させないように合理的な範囲で努力する旨を規定すること。

2-8. 有効期間

  • ①のパターンでは、自動更新の規定が設けられることが通常ですが、②のパターンでは、自動更新の規定は設けられないことが通常です。
  • 契約期間中に中途解約をすることができる権利を規定することもあります。
    なお、②のパターンでは、解約時点で、受託者が作成した出来高部分に応じて、業務委託料の精算をする必要があり得ますので、その点に関する規定を設けることもあります。

2-9. その他

損害賠償、裁判管轄等の一般的な条項が規定されます。

なお、受託側の責任による損害賠償義務が発生した場合に、損害賠償額について、業務委託料の全額を上限にするか否かが、契約条件の交渉としてポイントになることがあります。

3. まとめ

業務委託契約は、汎用される契約ですが、①・②いずれのパターンであるかをよく考えることなく、書式をそのまま使用している例も散見されます。業務委託契約は、豊富な経験を有する当事務所にご相談ください。

監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

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