企業法務コラム
残業代の未払いにおける注意点・罰則

労働者が使用者(会社)の指揮命令下にある時間は、労働時間とされます。労働基準法により労働時間の規制はありますが、労使間による時間外労働に関する協定(36協定)が締結されているときには、法定労働時間を超えて労働させることができます。
ただし、このような法定労働時間を超える労働や、法定休日の労働がなされた場合には、割増賃金(残業代)の支払をする必要があります(労働基準法37条)。割増賃金の未払いに関しては、付加金(労働基準法114条)と刑事罰(労働基準法119条1号)が定められています。
1. 付加金について

労働基準法上では、裁判所は、割増賃金支払規定に違反した使用者に対して、労働者の請求により未払割増賃金のほか、これと同一額の付加金の支払いを命じることができると規定されています。
ただし、裁判所が支払いを命じるまでに支払いがあった場合には、付加金を命じることができないとされています。
2. 刑事罰について
割増賃金未払の場合、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」(労働基準法119条)を受ける可能性があります。
3. 遅延損害金について

使用者は、割増賃金が支払うべき日の翌日を起算日として遅延損害金をあわせて支払わなければなりません。
会社が労働者から未払残業代の請求を受けるときには、時効にかかるまでの過去の分までさかのぼって請求を受けることとなります。残業代を2年(2020年4月以降は3年)さかのぼって請求を受けた場合、数百万円など高額になるケースがほとんどです。そのため、残業代とあわせて遅延損害金も大きくなります。
以上の通り、残業代未払による会社が受けるリスクは大きいものがあります。労働者の労働時間の管理は、会社にとって非常に重要な事項です。また、固定残業代制度や裁量労働制の導入、管理監督者など、会社が設定している場合であっても、適切な運用などができていない場合には、あとから残業代を支払わなければならなくなる場合もありますので、専門家のチェックを受けておくのが望ましいところです。
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