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企業法務コラム

賃金の未払があるとどうなるか

投稿日:
更新日:2024/07/24
グレイスくん
グレイスくん

賃金の未払というと、いわゆるブラック企業というイメージがありますが、ほとんどの会社では、給与をきちんと支払っていると思うので、あまり問題にならないのではないでしょうか。

播磨先生
弁護士

完全に未払になっている会社があれば、それこそ大問題になってしまいます。実は、そのようなケースでなくても、未払になってしまうことがあるのです。 例えば、残業時間の管理をきちんと行っている会社でも、残業代の未払が発生することがあるのです。

グレイスくん
グレイスくん

残業時間を正確に集計して、残業代計算に反映していれば、支払い漏れが生じることはないと思うのですが…。

播磨先生
弁護士

社員の方は月給制になっていることが殆どですから、月給の例で説明しますね。賃金の構成は、基本給があって、それ以外にいくつかの手当の組合せになっていることが大半です。この手当について、「残業代の計算の分母に入れるか・入れないか」という点があるのです。

グレイスくん
グレイスくん

残業代計算の分母にするのは、基本給だけではダメなのですか。

播磨先生
弁護士

結論から言いますと、ダメです。手当といっても、基本給の補完・調整項目として使われているものもあります。そのような手当が残業代計算の分母に入らないということになると、基本給を減らして、名目だけを手当に変えてしまうことにより、残業代を低く操作できるようになってしまいます。法律はそのようなことを認めていないのです。

グレイスくん
グレイスくん

確かにそうですね。

播磨先生
弁護士

法律の世界では、この点を「基準内賃金」・「基準外賃金」という言い方をしています。基準内賃金であれば、残業代計算の分母に入れる必要があります。逆に、基準外賃金であれば、残業代計算の分母に入れる必要はありません。

グレイスくん
グレイスくん

手当には色々なものがありますが、この点に関する基準はあるのですか。

播磨先生
弁護士

法律で決まっています。基準外賃金にできる手当は決まっており、それ以外は全て基準内賃金に分類する必要があります。

グレイスくん
グレイスくん

どのようなものがあるのでしょうか。

播磨先生
弁護士

以下の手当だけが、基準外賃金になります。

1/家族手当
2/通勤手当
3/別居手当
4/子女教育手当
5/住宅手当
6/臨時に支払われた賃金
7/1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

グレイスくん
グレイスくん

例えば、家族手当であれば、どのような計算方法でも認められるのでしょうか。

播磨先生
弁護士

それが違うのです。例えば、典型的な家族手当は、扶養家族の人数に応じて支給額が変わるものです。このような家族手当は基準外賃金になります。しかし、家族手当といっても、扶養家族の人数に関係なく一律に同じ金額が支給されているようなケースでは、基準内賃金になってしまいます。このような場合には、名前こそ家族手当になっていますが、家族の扶養という実体がないと判断されるためです。

グレイスくん
グレイスくん

それ以外によく問題になるケースはどのようなものでしょうか。

播磨先生
弁護士

住宅手当も家族手当と同じような点がよく問題になりますね。それ以外には、時々しか支給されない手当を「臨時に支払われた賃金」にすることができるかという点も問題になりますが、かなり限定的なケースでしか認められないのが実情です。イメージとしては、基準外賃金に分類できる手当の範囲は、かなり限定されていると考えておくほうが良いです。

グレイスくん
グレイスくん

ありがとうございます。最後に、賃金の支払い漏れがある場合には、どのような影響があるのでしょうか。

播磨先生
弁護士

法律にも罰則があるのですが、会社として最も留意する必要があるのは、労働基準監督署の調査を受けた場合ですね。労働基準監督署の調査を受けて、このような点を指摘されますと、過去に遡って正しい方法で計算しなおした額を支払うように指導されます。この指導は必ず従う必要があります。賃金に関して、法律上の時効は3年間ですので、最大で3年分について、全従業員に対して遡って支払義務が発生する可能性があるということです。もちろん、過去3年分全てについて支払うように指導されるとは限りませんが、最大の想定としてはそのように考えておく必要があります。どの程度の計算ミスがあるかにもよりますが、それなりに大きい金額になってしまうこともありますから、要注意です。

グレイスくん
グレイスくん

ありがとうございます。そのようなことにならないように、日頃から正しい方法で労働時間を管理して、計算しておく必要があるわけですね。

【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

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監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

本店所在地
〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目1-35 サンセルモ大門ビル4階
連絡先
[代表電話] 03-6432-9783
[相談予約受付] 0120-100-129
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