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企業法務コラム

労働時間・残業代について

投稿日:
更新日:2024/07/09

東京・神戸・福岡・熊本・長崎・鹿児島に拠点がある弁護士法人グレイスの労働法コラムです。

今回のテーマは、労働時間・残業代についてです。

相談者
相談者

労働時間というのは、毎日の勤務時間のことでしょうか。どのような会社でも、定時の始業時刻と終業時刻が決まっていると思います。

播磨先生
弁護士

基本的にはそのイメージで合っていますが、労働時間というのは、法律で細かくルールが決まっています。 会社が何でも自由に決めることができるというわけではないのです。

相談者
相談者

就職したときに、始業・終業・休憩の時間ぐらいは 聞いていますよ。

播磨先生
弁護士

そのあたりは会社が原則として自由に決めることができるのですが、簡単に言うと、法律の基本的なルールは、1日の勤務時間は8時間までなのです。

相談者
相談者

確かに、多くの会社では、1日の勤務時間は8時間になっている所が多いですね。ただ、実際には、8時間を超えて仕事をすることもよくありますよ。

播磨先生
弁護士

それはその通りです。1日8時間を超えて仕事をしてはいけないというルールではないのです。1日8時間を超えて仕事をしてもらうためには、①労使協定という書面を作成して労基署に届出をすること、②8時間超の残業部分には残業代として割増をして支払うこと、の2つが必要になるということです。

相談者
相談者

私が勤務している会社では、労使協定というものを見たことがないのですが、作成しているのでしょうか。

播磨先生
弁護士

労使協定は、会社が従業員の方に残業をしてもらうためには必ず必要になる書類です。会社と従業員代表の方との間で締結することが多いので、それ以外の従業員の方が労使協定の作成に直接に関わることは、実際には多くないと思います。稀に、労使協定の作成を忘れている会社もありますが、すぐに是正しないといけません。

相談者
相談者

私が勤務している会社は、出勤時間が8時・退勤時間が17時・休憩時間が12時から13時になっています。1日の勤務時間は、9時間から休憩の1時間を引いた8時間と考えてよいのでしょうか。

播磨先生
弁護士

そうです。始業・終業の時間は、会社によって様々ですが、「1日8時間勤務」を原則にしている会社が多いと思います。

相談者
相談者

1分でも残業をすると、残業代の支払い対象になるのでしょうか。

播磨先生
弁護士

法律のルールでは、支払の対象になります。よく見かけるのは、1日あたり10分未満・30分未満の残業は切り捨て処理をして集計をするケースです。前者の例でいえば、8分の残業をした場合の残業集計は「0分」になり、26分の残業をした場合の残業集計は「20分」になります。しかし、これは法律違反です。

相談者
相談者

始業時刻の前に出勤をして仕事をするときはどうなるのでしょうか。いわゆる「早出」のことです。

播磨先生
弁護士

「早出」も全く同じです。 早く出勤するか・遅くまで残って仕事をするかの違いであって、実際に仕事をしているのであれば、どちらも残業代の支払い対象になります。1日8時間を超えた部分の残業は、25%増しになります。これ以外の細かいルールも色々とあるのですが、まずはこの点を理解してください。

相談者
相談者

残業代のルールは細かくてわかりにくいですが、まずは大原則を理解するところからですね。ただ、実際には、終業後に会社に残っているけれども、仕事をしているかどうか分からないという方もいると思いますが…。

播磨先生
弁護士

労働時間というのは、法律上のルールでは、「会社の指揮命令により業務を行っているかどうか」で決まります。ですから、終業後に会社に残っていても、例えばスマホでゲームをしていたり、雑談をしていたのであれば、それは労働時間ではありませんから、残業代の支払は必要ありません。

相談者
相談者

それはそうだと思うのですが、実際には、本当に必要があって残業をしているのか・仕事をしておらずスマホのゲームや雑談をしているだけなのかの管理ができていない会社が多いように思います。後者は、「生活残業」と言われることもあるようですが…。

播磨先生
弁護士

そうです。そのようなケースが多いと思います。 残業を事前承認制にして、事前承認がない残業は一切認めないという制度にしている会社もありますが、本当に業務上の必要性があって残業をせざるを得ず、会社も黙認しているのであれば、それは残業時間になります。

相談者
相談者

確かにそうですね。そうしないと、サービス残業が横行してしまいますね。ただ、仕事をしていないのに残業代目当てで居残っていることも問題と思います。対応策はないのでしょうか。

播磨先生
弁護士

対応策は会社により様々ですが、1つの方策としては、①終業時刻の終了前にその日の残業予定を届出させる(例:XXの業務でAA分・YYの業務でBB分)こと、②実際の退勤時間がその事前届出の内容よりも一定時間(例:30分)以上遅くなった場合には、その理由を追加で報告させる、という方法が考えられます。その目的は、会社で適切に管理をすることにあります。管理をするといっても、何もなしにはできませんから、まずはこのような運用を検討してはいかがでしょうか。

相談者
相談者

ありがとうございます。色々と複雑な部分がありますが、まずは基本的なルールの理解が大事ですね。

【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

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監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

本店所在地
〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目1-35 サンセルモ大門ビル4階
連絡先
[代表電話] 03-6432-9783
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WEBサイト
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