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企業法務コラム

賃金未払いの類型及び罰則等について解説

投稿日:2022/09/06
更新日:2023/12/11
賃金未払いの類型及び罰則等について解説

第1 賃金未払いの類型

1労働者が会社に対して未払賃金の請求をする場合、その請求はいくつかの類型に分類できます。まず、典型的なパターンは時間外労働に対する残業代を支払っていないというものです。労働基準法32条は、法定労働時間を「1日8時間、週40時間」と定めています。会社が労働者をこれらの時間を超えて働かせた場合、当該労働時間に応じた時間給に加えて、通常の1.25倍から1.5倍の割増賃金を支払わなければなりません。この割増賃金は、深夜労働や休日労働の場合も発生します。
このパターンの事案も、①労働をしていた時間帯に争いがある、②特定の時間が労働時間に該当するかに争いがある又は③残業代の支払いが必要な場合であるかに争いがあるか(固定残業代制等を理由にすでに支払い済みである)といった分類さらにできます。

2その他のケースとして、労働者が職務上会社に損害を与えた場合、当該損害を給与から天引きしてしまっているというものがあります。労働基準法は給与の全額払いを原則としており、会社側が労働者に対して債権を有している場合に、会社が対等額で一方的に相殺をして賃金の支払いを免れることを規制しています。裁判例では、労働者が自由な意思に基づいて相殺に同意した場合は許されるとしていますが、当該同意が労働者の自由な意思に基づくものであるかは厳格に審査される傾向がありますので注意が必要です。

第2 付加金について

労働基準法上では、裁判所は、割増賃金支払規定に違反した使用者に対して、労働者の請求により未払割増賃金のほか、これと同一額の付加金の支払いを命じることができると規定されています。
これは、会社による賃金の未払いが付加金による制裁が必要なほど悪質な場合に認められます。その結果、会社は未払い賃金だけでなく、付加金をプラスして支払いをしなければならなくなります。命じることができないとされています。

なお、付加金の対象となる未払賃金は以下のものに限られます。

  1. 解雇予告手当(労働基準法20条1項)
  2. 休業手当(労働基準法26条)
  3. 時間外・休日労働等に対する割増賃金(労働基準法37条)
  4. 年次有給休暇中の賃金(労働基準法39条9項)

第3 遅延損害金について

使用者は、割増賃金が支払うべき日の翌日を起算日として遅延損害金をあわせて支払わなければなりません。会社が労働者から未払残業代の請求を受けるときには、時効にかかるまでの過去の分までさかのぼって請求を受けることとなります。

遅延損害金は、各賃金の支払日の翌日から年利3%(ただし、2020年4月より前に発生した賃金は年利5%)となります。また、賃金の支払いを受けないまま退職した場合、賃金の支払の確保等に関する法律6条により、退職日の翌日から14.6パーセントの遅延利息が発生します。
残業代を2年分(2020年4月以降は3年)遡って請求を受けた場合、未払い賃金の元本のみで数百万円など高額になるケースがほとんどです。特に退職日以降の遅延損害金は利率が高いため注意が必要です。

第4 その他会社が負う責任について

1 刑事罰について

そもそも残業代を支払っていない、割増分を支払っていない、このような場合、労働基準法違反となります。そして、残業代未払いについては、同法119条が「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」という罰則を定めています。罰則の対象者は代表者に限られません。条文は「法律に違反した者」と規定しておりますので、部下に違法な残業を命じている管理職も刑事責任を問われ得ることになります。また、同法121条により会社そのものも刑事責任を問われ得る立場となります。刑事罰が会社に科せられる場合、懲役刑は存在せず、罰金刑が科せられることになります。罰金そのものの金額は低いですが、会社の社会的信用が棄損されて、結果として会社経営に深刻な影響が生じるおそれがあります。
また、刑事責任を負わずに済んだとしても、民事責任を問われることは大いにあります。リスク防止の観点からも会社の体制や労働者への対応について専門家である弁護士に相談することをお勧めいたします。

2 その他の責任について

賃金未払いに伴い、会社が負う責任は刑事責任に限られません。民事責任も問われることになります。未払い分の賃金を支払う義務を負うことはもちろんですが、前述のとおり、その他にも遅延損害金や付加金の支払義務が発生し得ます。

第5 弁護士法人グレイスでできるサポート内容

1 残業代に関するご相談

以上のとおり、残業代未払による会社が受けるリスクは大きいものがあります。労働者の労働時間の管理は、会社にとって非常に重要な事項です。また、固定残業代制度や裁量労働制の導入、管理監督者などを会社が設定している場合であっても、適切な運用などができていない場合には、あとから残業代を支払わなければならなくなる場合もあります。弊所では、このように未然に残業代の未払いが発生しないための相談及びサポートをしております。

2 残業代請求への対応

労働者から残業代請求を受けた場合、代理人として交渉いたします。労働者の主張の精査し、反論を行い、少しでも会社に有利な合意を目指します。また、訴訟又は労働審判を申し立てられることなく、話し合いによる解決を目指します。このような解決により、紛争が長期化することを回避し、かつ、費用の節約も期待できます。

2 労働審判・訴訟対応

労働者から残業代請求に関する訴訟又は労働審判を申し立てられた場合にも、代理人としてご対応いたします。労働者の主張の精査し、反論を行い、少しでも会社に有利な結論を目指します。

監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

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