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裁量労働制により残業代を節減できるか

裁量労働制により残業代を節減できるか

1. 裁量労働制とは

裁量労働制とは

裁量労働制という言葉をお聞きになった方も多いと思われますが、その実態は、必ずしも正確に理解されていないことが多いように思われます。裁量労働制とは、業務の遂行方法・勤務時間等について、労働者の裁量にゆだねることを認める制度です。

裁量労働制には、専門型裁量労働制企画型裁量労働制の2つがあります。

企画型裁量労働制は、中小企業ではなく、大企業に適する制度と思われますので、ここでは、実務上のご相談が多い専門型裁量労働制に絞って、ご説明をいたします。

専門型裁量労働制は、どのような業種でも導入できるわけではなく、導入できる業種が法律で決まっています

詳細は、下記の厚生労働省のウェブサイトをご参照ください。実務上でよく出てくる典型的なものとして、例えば、情報処理システムの分析・設計等があります。

https://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/senmon/

2. 専門型裁量労働制を導入するために必要な手続

専門業務型裁量労働制を導入するためには、導入する事業場ごとに、以下の事項を定めた労使協定を締結する必要があります。労使協定は、労基署に届け出る必要があります。

  • ① 制度の対象とする業務
  • ② 対象となる業務遂行の手段や方法、時間配分等に関して、労働者に具体的な指示をしないこと
  • ③ 労働時間としてみなす時間
  • ④ 対象となる労働者の労働時間の状況に応じて実施する健康・福祉を確保するための措置の具体的内容
  • ⑤ 対象となる労働者からの苦情の処理のため実施する措置の具体的内容
  • ⑥ 協定の有効期間
  • ⑦ ④と⑤について、労働者ごとに講じた措置の記録を、協定の有効期間満了から3年後まで保存すること

この手続が、適切に行われていない会社が散見されますので、注意が必要です。また、実務上は、就業規則にも定めることにより、従業員に対して周知を行います。

3. 専門型裁量労働制と残業代

専門型裁量労働制を導入した場合には、割増賃金の考え方は、以下のとおりになります。

3-1. 時間外労働

時間外労働

労使協定で定めたみなし労働時間が所定労働時間を超える場合に、当該超過部分についてのみ、36協定の締結・届出と時間外割増賃金の支払いが必要になります。

例えば、就業規則で所定労働時間を8時間に設定している会社で、みなし労働時間が10時間と設定されている場合には、使用者は、1日2時間分について、1.25倍の割増賃金を支払う必要があります。

他方で、実際の労働時間が10時間を超えたとしても、その分について割増賃金が発生することはありません。

3-2. 深夜労働

午後10時から午前5時までの深夜時間帯に労働した場合に、その時間に応じて0.25倍の割増賃金を支払う必要があります。割増率は、1.25ではなく、0.25で足ります。そのため、深夜割増賃金の総額は、さほど大きくならないと考えられます。

3-3. 休日労働

法定休日に労働をした場合に、その日の労働時間に休日割増分を加えた1.35倍の金額を支払う必要があります。これは、あくまで法定休日(例:日曜日を法定休日としている会社を想定します)のみに適用されるものですので、法定外休日(例:土曜日、祝日、夏季休暇、年末年始等)については、1.35倍ではなく、現実に労働した時間に1.25倍の金額を支払うことで足ります。

4. 専門型裁量労働制を導入する際の注意点

専門型裁量労働制を導入する際の注意点

専門型裁量労働制は、会社にとって、メリットがある制度になり得ますが、手続・運用の方法が正確に理解されていないような状況も散見されます。

専門型裁量労働制を導入する場合の注意点は、以下のとおりです。

第1に、専門型裁量労働制は、本来、会社が従業員の労働時間を把握・算定する義務を免除するものではありますが、上記のとおり、深夜・休日に労働した分は、割増賃金を支払う必要があります。また、会社には、労働者の健康確保を図る義務もあります。そのため、実際には、通常の場合と比較すると緩和されるものの、従業員の労働時間を把握・算定する義務はあるものとお考え下さい。

第2に、専門型裁量労働制の「みなし労働時間として設定すべき時間」をどのように決めるかについては、法律は特に定めていません。しかし、通達では、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」とすることとされています。この「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」が、実態とかけ離れているような場合には、労基署から、みなし労働時間を実態に合わせるよう指導されるリスクが高くなります。例えば、上記3の例でいいますと、「1日10時間」という設定が実態に合致しているかを、定期的に検証する必要があるということです。

第3に、専門型裁量労働制を導入しておきながら、実際には、従業員の職務遂行方法や勤務時間について、会社が個別に指示をしているような場合には、無効とされる可能性が高くなります。

第4に、専門型裁量労働制を導入することができる職種は、上記のとおり、法律で決まっていますが、その解釈を間違うケースがあります。例えば、「情報処理システムの分析・設計等」には、エンジニアは含まれますが、プログラマーは含まれないとされていますので、注意が必要です。

このように、専門型裁量労働制の導入には、クリアする必要がある条件がいくつもあります。導入をお考えの場合は、当分野に強い弊所にご相談ください。

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