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企業法務コラム

退職勧奨の進め方

投稿日:
更新日:2023/12/22
退職勧奨の進め方

1. 退職勧奨とは

退職勧奨とは、使用者が労働者に対して、自ら退職するよう促すことをいいます。その方法としては、使用者が無条件の辞職を促す場合や、退職金の上乗せなどの条件を呈示する場合があります。いずれの場合であっても、労働者の自発的な退職意思を形成するための説得等の行為であって、退職を強制することはできません。あくまでも、労働者に納得してもらい、合意をとりつける方向で進めてください。例えば、退職勧奨を行う理由が会社の経営状況悪化に伴う人員削減によるものの場合、その理由をしっかりと伝えるようにしてください。会社を立て直すためにも退職が必要である旨を説明し、労働者に納得してもらうことが必要です。

2. 退職勧奨がどこまで許容されるか

退職勧奨は、あくまでも労働者の自発的な退職意思の形成を促すものであり、これを超えて心理的圧力を加え、退職を強要することは、労働者の人格権を侵害する不法行為になり得ます。

例えば、下記のような場合には、退職勧奨が違法であり損害賠償(慰謝料)義務を負うと判断した裁判例があります。

  1. 暴行を含む嫌がらせによる退職強要行為が行われた事例(東京高判平成8年3月27日、労判706号69頁)
  2. 退職勧奨の過程で、懲戒解雇の可能性が示唆された事例(東京高判平成24年11月29日、労判1074号88頁)
  3. 30数回もの「面談」「話し合い」が行なわれた事案において、面談の頻度、各面談の時間の長さ、使用者に対する言動は、社会通念上許容しうる範囲をこえていると判断された事例(大阪高判平成13年3月14日、労判809号61頁)

3. 違法性の判断基準について

これまでの裁判例からすると、①面談回数が多数回、長期間にわたること、②面談時間が長時間に及ぶこと、③労働者の名誉を傷つける発言や精神的苦痛を与える発言があること、④使用者側の参加者が多数にのぼるなど圧力を感じる客観的な状況にあること等の事情がある場合には、違法と判断される可能性がありますので、十分注意してください。

「多数回」や「長期間」等の判断基準に関しては、「退職勧奨のための面談には応じられないことをはっきりと明確に表明し、かつ当該社員の上司に対してその旨確実に認識させた段階で初めてそれ以降の退職勧奨のための説明ないし説得活動について、任意の退職意思を形成させるための手段として、社会通念上相当な範囲を逸脱した違法なものと評価されることがあり得る」(東京高判平成24年10月31日労経速2172号3頁)と判断したものがあります。

4. まとめ

何度かの話し合いにより、労働者が退職勧奨を受け入れた場合には、雇用契約終了の合意書を作成することとなります。

合意書を無理やり書かされた等と後からトラブルにならないように、退職勧奨の流れの手順については、会社内でしっかり検討し、慎重に進める必要があります。退職勧奨の手続きの流れ、具体的方法についても、アドバイスさせていただきますので、事前にぜひご相談ください。

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【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

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監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

本店所在地
〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目1-35 サンセルモ大門ビル4階
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