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解雇と退職勧奨の違いについて弁護士が解説

投稿日:2021/06/18
更新日:2023/12/22
解雇と退職勧奨の違いについて弁護士が解説

1. 初めに

事業活動を行うにあたり、会社として、労働者との労働契約を解消したい場合に遭遇することも珍しくはないと思います。もっとも、各種メディアでも解雇の有効性が問題となることを目にしたこともあるかと思います。労働者との労働契約を解消するにあたって、まず頭に思い浮かぶのは解雇かと思います。しかし、解雇はその有効性が厳しく判断されることから、解雇をする際には注意が必要です。そして、解雇の有効性について紛争化を避けるために、会社から労働者に対して退職勧奨を行うこともあります。そこで、本コラムでは、解雇と退職勧奨の違い及びどちらを選択すべきかの基準について解説したいと思います。

2. 解雇とは

解雇とは、使用者の一方的意思表示による労働契約の終了をいいます。解雇といっても、いわゆる普通解雇と懲戒解雇で種類が異なります。まず、普通解雇は、労働者が傷病等を理由に期待された労務の提供ができない場合や労働者の能力不足が認められる場合に行われます。そのほかにも会社側の理由による解雇、例えば、整理解雇なども考えられます。もっとも、解雇を自由にすることはできず、解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合に無効となります。

次に、懲戒解雇は、会社が労働者に対して行使しする懲戒処分の一つで最も重いものになります。懲戒解雇は、会社が会社の企業秩序を守るために、服務規律に違反する行為に対して制裁として行われます。もっとも、懲戒解雇は、懲戒処分の中で労働者にとって最も不利益の大きい処分であることから、その有効性は厳しく判断されます。そのため、形式的に懲戒解雇事由に該当するとしても、実際懲戒解雇をするかについては慎重な判断が必要です。

3. 退職勧奨とは

他方、退職勧奨とは、労働者の退職の意思表示を促すための会社から労働者への働きかけをいいます。文字通り、労働者の退職の意思表示を促すものですので、退職勧奨を持って何かしら法的効力が生じるわけではありません。もっとも、だからといって退職勧奨が無制限に許容されるわけではなく、執拗に退職勧奨を繰り返すことはパワーハラスメントの問題が生じますので注意は必要です。

退職勧奨を行う場面としては、解雇をすることが法的に困難であるものの、労働者が業務の適性を欠くといった場合に、会社が労働者に対して行うことがあります。または、懲戒処分は可能であるものの、労働者のことを慮って退職勧奨により、自主退職を促すこともあり得ます。

退職勧奨を行う際の注意点は、あくまで最終的に退職をするかどうかは労働者の自由な意思に任せられていることです。そのため、労働者に過度な圧力をかけるなど、労働者の自由な意思決定が阻害されるような態様による退職勧奨は控えなければなりません。

4. 解雇と退職勧奨の違いについて

以上のとおり、解雇と退職勧奨とは。労働契約を一方的に解消できるかという点で違いが存在します。解雇は、有効性が認められれば一方的に労働契約を解消できるものの、他方、退職勧奨は、退職勧奨により労働契約を解消させる効果はなく、あくまで労働者が自ら退職の意思表示をして初めて労働契約が解消されることとなります。

5. 解雇と退職勧奨のどちらを選択すべきか

解雇を行うか、退職勧奨により労働者との労働契約を解消するか、どちらを選択すべきでしょうか。その際の選択の基準として、まずは、そもそも当該労働者との関係で、普通解雇又は懲戒解雇が適法に行えるかを検討する必要があります。これらの解雇が可能な場合には、ある程度、退職勧奨についても会社が優勢に進められると考えられます。他方、解雇がおよそ不可能な事案であれば、会社としては退職勧奨を行うほかの選択肢はありません。そして、退職してもらう際の待遇についても違いが生じる可能性があります。

また、解雇はその有効性が厳しく判断されることから、できる限り紛争化を避けるという意味で退職勧奨を選択するということもあり得ます。解雇が争われ、労働審判や通常の訴訟となれば、時間及び費用も相応に必要となります。

そのほかにも、解雇を選択することもありうるが、労働者に配慮して、自ら退職してもらうという実質的な事情も加味して、解雇と退職勧奨のどちらを行うかを選択することになります。

6. 最後に

解雇が可能な事案であるかは、法的評価を伴う判断であることから、一度弁護士に相談することをお勧めいたします。また、退職勧奨を選択する際も、その態様にも注意を払う必要があります。そのため、退職勧奨を行う場合であってもその手順や話の内容などを事前に詰めておく必要があります。場合によっては、弁護士を同席させることも考えられるため、労働者との労働契約の解消をお考えの際は、まずは、ご相談いただければと思います。

監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

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