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企業法務コラム

第13回「民法改正(10) -賃貸借契約(2)-」

2016/03/27

法改正

弁護士:大武英司

民法改正(10) -賃貸借契約(2)-

今月も、先月に引き続き、賃貸借契約に関する重要な改正点について触れさせて頂きます。今回は賃貸借契約の問題のうち、「転貸」についてご説明致します。

「転貸」とはいわゆる「また貸し」のことを指します。例えば、A(賃貸人)がB(賃借人)に建物を貸していたところ、BがC(転借人)にその建物を貸すことを言います。民法は「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ賃借物を転貸することができない」と定めております。つまり、Aの承諾のないままBがCに転貸すること(「無断転貸」といいます)は不適法であり、AはBに対して賃貸借契約を解除できるだけでなく、Cに対して賃借物の返還(明渡し)を求めることができます。言い換えれば、また貸しをしたBはAから契約を解除されるだけでなく、Cに対しても迷惑をかける結果となる訳です。

それでは、ここからはBがしっかりAの承諾を得てCに転貸した場合を考えます。
仮にBが適法に転貸したとしても、AB間の賃貸借契約が別の事情で解除された場合にCはそれでもAから目的物を借り続けることができるでしょうか、という問題です。

この問題について、現行民法には明確な規定がありませんでしたが、判例が存在していたため、その判例の考えを改正民法で明文化することとなりました。
具体的には、Bが賃料不払いなどの債務不履行によりAから契約を解除された場合と、AB間の合意により解除された場合で、Cの立場が区別されることとなります。

考え方としては、次のとおりです。
すなわち、CはAが転貸を承諾している以上、適法な転借人として保護されなければなりません。他方で、Bが債務の不履行(例えば、Aに対する賃料不払い)となっている場合にまでCの保護を優先して、AがBとの契約に拘束されるとしたのでは、むしろAに酷といえます。

そこで、ABが賃貸借契約を合意解除した場合にはCは返還義務を負わず、Bの債務不履行によってAB間の賃貸借契約が解除された場合にはCは返還義務を負うこととしました。

いずれにしましても、転貸は複雑な法律問題となりますので、是非とも細心の注意を払ってください

このコラムの著者

大武 英司 -OHTAKE EIJI -

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