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企業法務コラム

成年年齢引下げによるあれこれ

投稿日:2022/07/21
更新日:2022/07/21

法改正

弁護士:大武英司

成年年齢引下げによるあれこれ

2022年4月1日から民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。これにより、例えば「20歳になる兄と18歳になる弟が揃って成人となる」等という話も耳にするところです。
本コラムでは、この成年年齢引下げにより法律的にはどのような変化があるのか概観します。
民法上、成年か未成年かの区別は大きく2つの意味をもちます。
1つは、未成年者は単独で有効な法律行為(契約の締結等)をすることができないという意味、もう1つは父母の親権に服するという意味です。
特に、前者の意味においては、18歳でも単独でローンの申込みをすることができる点や、車など高額な物を買うことができる点を考えれば、その影響の大きさが想像できると思います。これまでは19歳の者がこのような契約をしたとしても、未成年者ゆえに契約の申込みを取り消すことができましたが、今後は取り消せなくなる点で18歳、19歳の者が行う行為の持つ意味の重要性が顕著になったといえるでしょう。他方で、詐欺の被害者となったり悪徳商法にひっかかりやすいといったリスクも危惧されているところであり、注意が必要なことは言うまでもありません。
ところで、この成年年齢引下げにより、どの時点における年齢を基準とするかが問題となるケースがあります。例えば、離婚調停において「子が成年に達するまで養育費を支払う」との約定が存在するケースです。
この場合には、調停が成立した時点における成年年齢を基準にすべきと考えられます。調停成立時が2022年3月であれば成年年齢は20歳であったことから20歳まで養育費の支払義務を負い、調停成立時が2022年5月であれば18歳まで養育費の支払義務を負うと考えられます。それが調停成立時における当事者の意思であると考えられるためです。
なお、この成年年齢引下げは民法上の改正であり、他の特別法全てにわたってそれまで20歳以上にしか認められなかったものが18歳以上にも認められることになったものではない点は注意を要します。典型例が、依然として20歳未満の者の飲酒や喫煙が禁止されている等です。これは、特別法により若年者の健康増進に配慮して特に制限されているものであり、民法上の成年年齢引下げの趣旨が妥当するものではないからです。
一言で「成年年齢引下げ」といっても、それが日々の日常生活における様々な局面に影響を与えることが本コラムで多少なりともご理解いただけたと存じます。
ご不明な点等があれば弊所にお問い合わせください。

監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

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