文字サイズ − −
お気軽にお電話ください!0120-77-9014
トップページ > 企業法務コラム > 法改正コラム > 第11回「民法改正(8) -消費貸借-」

企業法務コラム

第11回「民法改正(8) -消費貸借-」

2015/11/25

法改正

弁護士:大武英司

民法改正(8) -消費貸借-

今月は、消費貸借契約に関する重要な改正点について触れさせて頂きます。

「消費貸借契約」とは、金銭その他の代替物を借り受け、それと同種・同等・同量の物を返還する契約です。典型例は、お金の貸し借りです。

現行の民法では、「消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる」と規定しています。

漫然と読んでいると、ごくごく当たり前のことを定めただけの規定のように見えます。しかし、じっくり意味を考えて読み込むと「お金を受け取らなければ、契約としての効力がない」ということを定めていることが分かります。

つまり、当事者の「借ります」「貸します」という意思の合致だけでなく、物(例えば金銭)の交付がなければ契約の効力が認められないということです。 このように、意思の合致だけで効力が生じる契約を諾成契約といい、それに加え、物の交付まであってはじめて効力が生じる契約を要物契約といいます。

現行の民法の規定は、お金の貸し借りは現実にお金の交付を受けてはじめて契約が成立する要物契約であることを定めているということになります。

ところが、改正民法では書面による消費貸借を諾成契約とすることにしました。つまり、お金の貸し借りを例に挙げれば、「お金を貸します」「お金を借ります」という意思の合致があれば、お金の交付が未だなくとも契約が成立するということにしたのです。

もっとも、ただ単に「貸します」「借ります」と口頭で言っただけで契約が成立するとしたのでは簡単に契約が成立してしまい、トラブルになりかねないことから、「書面による」場合に限定されています。

また、改正民法によると、たとえ書面で「貸します」「借ります」と明らかにした場合であっても、書面を交わしたものの金銭を現実に受け取る前の段階で、お金を借りる必要性がなくなったにもかかわらず、「借りる」という契約に拘束されるのは現実的ではありません。

そこで、改正民法は、借主に対し、金銭の交付を受ける前であれば契約を解除することができる権利を与えました。もっとも、借主の解除によって貸主に損害、例えば、貸主が借主のために資金を調達する上で生じたコストが生じた場合等には、借主は貸主にその賠償をしなければなりません。

金銭の貸し借りは日常的になされる契約ですので、注意が必要ですね。

このコラムの著者

大武 英司 -OHTAKE EIJI -

- 所属
- プロフィール
- 最新担当コラム
公益通報者保護法とは? 退職代行業者ってどういう存在? 急増している「メンタルヘルス」の問題 不動産にまつわる問題を弁護士が分かりやすく解説します 成年年齢引下げによるあれこれ

プロフィール詳細はこちら >

「法改正コラム」の関連記事はこちら

取り扱い分野一覧

ご相談のご予約はこちらから

全国対応可能・メールでのお問い合わせは24時間受付

東京事務所

東京都港区芝大門1丁目1-35
サンセルモ大門ビル4階

TEL.03-6432-9783

神戸事務所

兵庫県神戸市中央区小野柄通5丁目1-27
甲南アセット三宮ビル2階

TEL.078-862-3764

福岡事務所

福岡市博多区博多駅前四丁目2番1号
NEWNO・ザイマックス博多駅前7階

TEL.092-409-8603

長崎事務所

長崎県長崎市万才町7-1
TBM 長崎ビル8階

TEL.095-895-5557

熊本事務所

熊本市中央区安政町8-16 村瀬海運ビル401

TEL.096-245-7317

鹿児島事務所

鹿児島県鹿児島市西田2丁目27-32
TYビル 4-7F

TEL.099-822-0764