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企業法務コラム

退職勧奨が違法になる?判断基準や事例をまじえて分かりやすく解説

投稿日:
更新日:2026/02/03

問題のある従業員に対し、どのように退職を勧めるべきか悩んでいませんか。

経営者や人事担当者の方からは、以下のような切実な相談が寄せられます。

  • ・どこまで話をすると「退職強要」になるのか知りたい
  • ・相手の弁護士から「違法なパワハラだ」と通知が届いた
  • ・裁判を避けつつ、円満に合意退職を進めたい

結論からいうと、退職勧奨は正しく行えば違法ではありません。

自由な意思を尊重し、客観的な証拠を揃えることで、法的なリスクは最小限に抑えられます。

しかし、度重なる面談や言動を誤ると、不法行為として損害賠償を請求される恐れがあるため注意しましょう。

本記事では、裁判所が示す判断基準や実際の解決事例をもとに、企業が取るべき防衛策を解説します。

この記事でわかること
  • 退職勧奨が違法(退職強要)となる具体的な境界線
  • 裁判で会社側が有利になるための証拠の集め方
  • 請求額を大幅に抑制できた実例と交渉のポイント
  • トラブルを防ぐための正しい面談の手順
【記事のまとめ】

退職勧奨は原則として自由な企業活動ですが、過度な心理的圧迫を与えると違法な「退職強要」とみなされるリスクがあります。裁判所は面談の回数や言動を厳しくチェックするため、企業側は本人の自由な意思を尊重しつつ、慎重に手続きを進める必要があります。トラブルを回避する鍵は、勤怠不良などの客観的な証拠を事前に揃えることです。適切な証拠に基づき交渉することで、損害賠償請求額を大幅に抑制できた事例も存在します。法的な境界線を正しく把握し、戦略的な準備を行うことが円満解決への近道です。退職勧奨の進め方でお悩みなら、弁護士法人グレイスへご相談ください。初回相談は無料です。

目次

退職勧奨と「違法な退職強要」の決定的な違い

企業が組織を運営するうえで、パフォーマンスの低い社員や周囲に悪影響を及ぼす社員に対し、「自発的な退職」を促すこと自体は、法的に認められた正当な行為です。しかし、これが「強制」になってしまうと、一気に違法性のリスクが高まります。

退職勧奨は原則として「自由」な企業活動

退職勧奨とは、会社が従業員に対し、「退職してくれませんか」と申し入れ、合意による労働契約の終了を目指す働きかけをさします。これはあくまで「お願い」の範囲内であり、労働者の承諾を前提としています。日本の裁判例においても、企業が誰を雇い続け、誰に退職を勧めるかは、原則として企業の自由な裁量に委ねられていると考えられています。

解雇の法律上の定義と退職勧奨との違い

退職勧奨と混同されやすいのが「解雇」です。解雇は、会社が従業員の意思にかかわらず一方的に契約を解除する行為です。

労働契約法第16条では、以下のように定められています。

(解雇)

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

引用元:労働契約法(e-Gov法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128

解雇はこのように非常に厳しいハードルがありますが、退職勧奨は「合意」を目指すものであるため、解雇ほどの厳しい法的制約は受けません。ただし、従業員が「辞めたくない」といっているのに無理やり辞めさせようとすると、それは「退職強要」という違法行為に変化します。

なぜ「違法」と判断されてしまうのか?

退職勧奨が違法とされる最大の理由は、従業員の「退職の自由」を侵害するからです。憲法や民法において、個人の意思決定の自由は尊重されるべきものです。会社側がその優越的な立場を利用して、従業員に心理的・肉体的な圧力をかけ、無理やり退職の意思表示をさせた場合、それは「公序良俗に反する」あるいは「不法行為」とみなされます。

自由な意思決定を妨げる「心理的強制」の有無

裁判所が最も重視するのは、従業員に「真に自由な意思で退職を選べる余地があったか」という点です。「今ここで辞めるといわない限り、この部屋から出さない」「辞めないなら明日から草むしりだ」といった発言は、選択の自由を奪う典型的な心理的強制にあたります。

退職強要とみなされた場合の企業リスク

万が一、退職勧奨が「違法な強要」であると判断された場合、企業には甚大なダメージが及びます。

高額な慰謝料請求と損害賠償

不当な圧力をかけられた従業員が精神的苦痛を受けたとして、会社や担当者個人に対して慰謝料を請求するケースがあります。金額は事案によりますが、数10万から100万円程度になることが多いです。

退職の無効(バックペイの支払い義務)

一度退職したことになっていても、その合意が強要によるものであった場合、退職そのものが無効となります。そうなれば、従業員は現職に復帰することになり、さらに「退職していた期間の給与(バックペイ)」を全額支払わなければなりません。

企業イメージの失墜と行政指導のリスク

労働局からの助言・指導の対象となるほか、最近ではSNSなどで「ブラック企業」として実名が拡散されるリスクもあります。一度ついた悪評を払拭するのは容易ではありません。

裁判例から紐解く「違法」と判断される5つの判断基準

どのような行為が「違法」となるのか、過去の裁判例を参考に、具体的な5つの基準を解説します。

裁判例から紐解く「違法」と判断される5つの判断基準

1. 面談の回数・期間が「社会通念」を超えている

退職を勧める面談の回数があまりに多いと、それだけで違法とされる可能性があります。

執拗な繰り返しは精神的苦痛とみなされる

過去の裁判例では面談の回数だけでなく、期間や拒絶の意思の強さも総合的に判断されます。本人が明確に「辞めません」と拒絶しているのに、執拗に面談を繰り返すのは、もはや勧奨ではなく嫌がらせ(ハラスメント)とみなされる可能性が高いでしょう。

2. 面談の時間帯や1回あたりの所要時間

面談を行う「タイミング」と「長さ」も重要です。

深夜・長時間の拘束は監禁罪やパワハラに抵触する恐れ

日中の業務時間内に行うのが原則です。深夜まで及ぶ面談や、長時間の拘束は、従業員を精神的に追い詰める行為として厳しく批判されます。過去の裁判例でも、長時間の面談が違法性を強める一因となったケースが存在します。

3. 多数の人数で一人の従業員を取り囲む

面談の「体制」についても注意を払わなければなりません。

多人数での面談が「威圧的」と評価されるケース

従業員1人に対して、上司や役員など4、5人で取り囲んで退職を迫るような状況は、それ自体が威圧的です。冷静な判断を妨げるものとして、違法性を認める要素となり得ます。通常は、上司と人事担当者の計2名程度で行うのが適切です。

4. 名誉毀損や人格否定にわたる言動

面談中の「言葉選び」は最も慎重になるべきポイントです。

「給料泥棒」「辞めたほうがいい」など侮辱的表現の禁止

能力不足を指摘するにしても、人格を否定するような言葉を使ってはいけません。「君は会社のガンだ」「給料泥棒だから早く辞めろ」といった暴言は、退職勧奨の正当性を完全に失わせ、パワハラそのものと判断されます。

5. 不利益な処遇をちらつかせた脅迫的言動

従業員を怖がらせて退職を承諾させる手法は、絶対に避けてください。

懲戒解雇や配転命令を「武器」にするリスク

「今すぐ辞めないなら懲戒解雇にするぞ」「辞めないなら北海道の僻地へ飛ばす」といった発言は、典型的な脅迫です。実際に懲戒解雇の事由がないのに、それをチラつかせて退職を迫る行為は、後日、退職の意思表示を取り消される有力な根拠となりえます。

【事例紹介】元従業員からの不当な退職勧奨・パワハラ請求

ここで、弊事務所で実際に取り扱った解決事例をご紹介します。

相談のきっかけ

介護施設を運営する企業様から、「退職した元従業員が、不当な退職勧奨とパワハラを受けたとして、損害賠償と未払賃金を請求してきた」とのご相談をいただきました。

弁護士が着目した「客観的な事実」と証拠

相手方の主張に対し、私たちは「退職に至るまでのプロセス」を詳細に調査しました。そこで最大の武器となったのが、会社側が保管していた「出勤簿」や職員とのやり取りなどの記録です。

出勤簿から判明した度重なる欠勤・遅刻の実態

調査の結果、当該従業員には度重なる無断欠勤や遅刻があり、業務に大きな支障をきたしていたという客観的な事実が判明しました。つまり、退職勧奨は嫌がらせではなく、正当な業務上の必要性に基づいて行われたものです。

解決のポイント:法的責任を認めず柔軟に和解

真っ向から主張が対立するなかで、私たちは会社側の法的責任(パワハラや違法な勧奨)を一切認めない姿勢を貫きました。過去の出勤簿等の「客観的な資料」を揃えておくことで、言い分が対立しても有利に交渉を進めることが可能になりました。

請求額の抑制に成功した具体的な交渉過程

一方で、泥沼の裁判を避けて早期解決を図るため、「解決金」という名目での柔軟な対応を提案しました。

客観的な証拠を突きつけたことで、相手方も自身の非を認めざるを得なくなり、最終的には当初の請求額の1割相当という、大幅に抑制された金額で円満な合意に至りました。

違法と言われないための「正しい退職勧奨」実務ガイド

トラブルを未然に防ぎ、スムーズに合意を得るための実務的なステップを解説します。

違法と言われないための「正しい退職勧奨」実務ガイド

ステップ1:面談前の徹底的な準備と証拠収集

いきなり本人を呼び出すのは危険です。まずは外堀を埋める準備から始めましょう。

問題行動(勤怠不良・能力不足)の記録化

今回の事例でもあったとおり、出勤簿、業務日報、周囲の証拠、改善指導の記録などをすべて整理します。これらは、万が一「不当な勧奨だ」と言われたときに、会社を守る最強の盾となります。

ステップ2:面談場所と人数の適切な設定

従業員のプライバシーを保護しつつ、圧迫感を与えない環境を整えます。

プライバシーに配慮した会議室の選定

他の社員に内容が漏れないよう、プライバシーに配慮した会議室を選びます。ただし、閉鎖的すぎて「監禁」と言われないよう、退室を物理的に妨げる等、人の身体的自由を不法に奪うことがないように注意する必要があります。人数は、会社側2名(直属の上司+人事)がベストです。

ステップ3:面談時のトークスクリプト(言い回し)の作成

その場の感情で話すと、つい失言が出てしまいます。事前に話す内容をメモしておきましょう。

結論を急がせず「検討の余地」を残す伝え方

「今日中に返事をしろ」と迫るのではなく、「一度持ち帰って、家族とも相談してみてください」と、熟慮の期間を与えることが大切です。これにより、本人の「自由な意思」を尊重したという証拠になります。

ステップ4:退職合意書の作成と締結

本人が退職に合意したら、必ずその場で、あるいは数日中に書面を作成します。

清算条項と口外禁止条項の重要性

「今後、お互いに一切の金銭請求を行わない(清算条項)」、「退職の経緯や条件を第三者に漏らさない(口外禁止条項)」の2点は必須です。これを怠ると、後から追加で残業代を請求されるなどのトラブルが再発します。

問題社員への対応で企業が陥りやすい「落とし穴」

良かれと思って行った行為が、裏目に出るケースがあります。

「辞めてもらうこと」自体が目的化する危険性

「とにかくあいつを辞めさせたい」という感情が先行すると、法的な手順を飛ばしがちです。あくまで「組織の正常化」を目的とし、まずは配置転換や教育指導などの「解雇回避努力」を尽くしたという実績を作ることが重要です。

現場の管理職による「独断」の退職勧促

人事が知らないところで、現場の部長が勝手に「お前なんかクビだ」と言ってしまうケースが後を絶ちません。退職勧奨の権限を明確にし、現場には「勝手な判断をさせない」教育が必要です。

退職パッケージ(上乗せ退職金)提示のタイミング

最初から金銭を提示すると、「金で追い出そうとしている」と反発されることがあります。まずは退職の必要性を説明し、交渉の最終段階で「会社としての誠意」として上乗せを提示するのが定石です。

もし従業員側から「違法だ」と訴えられたら?

弁護士から通知書が届いても、慌てる必要はありません。

まずは冷静に「面談記録」を精査する

いつ、どこで、誰が、何を話したか。面談時のメモや録音データがあれば、それを精査します。会社側の非がどこにあるのか、あるいは相手の主張が誇張されていないかを見極めます。

労働審判や裁判へ発展した際のフロー

労働審判は、裁判官と専門家が加わり、原則3回以内の期日で解決を目指す手続きです。スピーディーですが、ここで不利な調停が成立すると取り返しがつきません。初期段階での法的な主張の組み立てが勝負を分けます。

早期解決を目指すべきケースと戦うべきケース

証拠が不十分で、会社側に明らかな失言がある場合は、早めに解決金を支払って和解するのが得策です。

逆に、確実な証拠がある場合は、毅然とした態度で戦うことで、不当な要求を退けることができます。ただし、有効な証拠であるかは弁護士に確認してもらう必要があります。

企業が弁護士に相談するメリット

退職勧奨は、まさに「法律の総合格闘技」です。プロの知見を活用することで、リスクを劇的に下げることができます。

法的に隙のない書面作成と証拠のアドバイス

どのような証拠を集め、どのような合意書を作るべきか。個別の事案に合わせて、裁判でも通用するクオリティの書面を作成します。

代理人交渉による精神的・時間的負担の軽減

弁護士が窓口になることで、経営者や人事担当者は感情的な従業員(またはその代理人)と直接やり取りする必要がなくなります。本来の業務に集中できる環境を取り戻せます。

紛争を未然に防ぐ「戦略的」な組織改善

単なるトラブル解決にとどまらず、就業規則の見直しや管理職研修などを通じて、二度と同じ問題が起きない組織作りをサポートします。

退職勧奨に関するよくあるご質問

実務担当者から寄せられる、よくある疑問に回答します。

退職勧奨は最大で何回までなら許容されますか?

法律で明確な回数は決まっていません。本人が明確に「辞めません」と拒絶しているのに、執拗に面談を繰り返すのは、もはや勧奨ではなく嫌がらせ(ハラスメント)とみなされる可能性が高いでしょう。

退職勧奨の面談を録音されるのは違法ですか?

従業員が自分の身を守るために内密に録音すること(秘密録音)自体は、直ちに違法とはなりません。裁判でも証拠として認められるのが通例です。会社側としては、「録音されている」ことを前提に、常に丁寧で法的な問題のない発言を心がけるべきでしょう。

本人が「辞めない」と言い張る場合、これ以上追求できませんか?

退職勧奨はあくまで任意ですので、本人が拒絶すればそれ以上強制はできません。その場合は、勧奨を一度打ち切り、本来の業務指導や適切な配置転換、あるいは(事由があれば)懲戒処分などの別のアプローチを検討することになります。

退職勧奨に応じてくれない場合、解雇に切り替えても良いですか?

非常にリスクが高い行為です。「勧奨に応じないから解雇」というのは、解雇権の濫用とされる典型的なパターンです。解雇には別途、極めて重い客観的理由(著しい能力不足や重大な規律違反)が必要です。慎重に弁護士へ相談してください。

退職金の増額は必ず提示しなければならないのでしょうか?

法律上の義務はありません。しかし、円満な合意を得るための「交渉材料」として、月給の数ヶ月分などを上乗せするケースは一般的です。紛争化して裁判費用を払うリスクと比較して、合理的な範囲で検討するのが賢明です。

まとめ:リスクを最小限に抑えた円満な合意退職を目指して

退職勧奨は、組織を活性化させるために避けられない場面もあります。しかし、一歩間違えれば「違法な退職強要」として、会社に甚大な損害を与えかねません。

重要なのは、以下の3点です。

  • ・客観的な証拠(勤怠記録や指導記録)を日頃から蓄積すること
  • ・面談の回数、時間、言動において、相手の自由な意思を尊重すること
  • ・万が一に備え、初期段階から専門家である弁護士のアドバイスを受けること

弊事務所では、企業側の立場に立ち、多くの退職勧奨トラブルを解決してきました。今回ご紹介した事例のように、たとえ主張が対立していても、戦略的な交渉によってリスクを最小限に抑えることが可能です。

「この社員への対応、どうすればいい?」と少しでも不安を感じたら、手遅れになる前にぜひご相談ください。

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【著者情報】

企業・経営者向けの顧問サービスに強みを持ち、約750社の顧問先企業を有する(2025年9月時点)。また、「社外法務部」という名称で主に中小企業に法務のアウトソーシングサービスを提供している。

従業員の解雇や問題社員対応などの労働問題、契約書・債権回収・損害賠償請求などの取引をめぐる紛争、不動産の取引に関する紛争、横領・着服・背任等不正行為、法人破産、M&Aや事業承継など。

監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

本店所在地
〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目1-35 サンセルモ大門ビル4階
連絡先
[代表電話] 03-6432-9783
[相談予約受付] 0120-100-129
WEBサイト
https://www.kotegawa-law.com/

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