企業法務コラム
パートタイム労働者に関する規制について
更新日:2025/01/14
東京・神戸・福岡・熊本・長崎・鹿児島に拠点がある弁護士法人グレイスの労働法コラムです。
今回のテーマは、パートタイム労働者に関する規制についてです。
一般的に「パート」、「アルバイト」等と呼ばれている人がいますが、通常の正社員との違いがよく分かりません。法律的にはどのように違うのですか?
労働者の労働条件は一様ではありませんが、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下「パートタイム労働法」といいます)では、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者を「パートタイム労働者」として扱っており、法規制が設けられています。
どのような法規制があるのですか?
端的に言いますと、通常の労働者と差別的な取り扱いをしてはいけないという点が挙げられます。
そうなのですね。具体的にはどういった点が挙げられるのですか?
通常の労働者と同視できると判断された一定のパートタイム労働者については、パートタイム労働者であるということを理由にして賃金の決定等について差を設けることは原則としてできないということになります。また、改正パートタイム労働法では、「賃金の決定」という点をさらに踏み込んで、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならないと定めています。
同じ仕事をしているのに差別的に扱ってはダメということですね。給与以外にも何か規制があるのですか?
給与以外の点ですと、パートタイム労働者にも必要な教育訓練を正社員と同様に与えること、福利厚生施設のうち、給食施設、休憩室及び更衣室等を同様に使用できるようにすること等が挙げられます。
好きでパートタイム労働者をしている方もいると思いますが、正社員になりたいと思っている人もいますよね?その辺りについては、法律は何か手当はないのでしょうか?
鋭い指摘ですね。その観点からは、事業主は、すべてのパートタイム労働者に対し、通常の労働者への転換を推進するため、以下のいずれかの措置を講じなければならないとされています。
① 通常の労働者を募集する場合、その募集内容を既に雇っているパートタイム労働者に周知する。
② 通常の労働者のポストを社内公募する場合、既に雇っているパートタイム労働者にも応募する機会を与える。
③ パートタイム労働者が通常の労働者へ転換するための試験制度を設ける。
④ その他通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずる。
なるほど。知らなかったです。そもそも、事業者との間で労働条件に関する質問や相談をする機会がないので、もっと充実した相談等が行えるようになると良いと思うのですが、どうでしょうか?
そうですね。事業主は、雇用するパートタイム労働者から求めがあったときは、待遇を決定するに当たって考慮した事項を説明しなければならないとされていて、さらに、改正パートタイム労働法では、この説明義務が強化され、これまで説明義務の対象とされていなかった通常の労働者との待遇差の内容や理由など、自身の待遇について説明を求められた場合、事業主はこれらを説明しなければならないこととなっています。
そうなのですね。待遇の格差を是正するように法律も変わってきているのですね。教えて頂きありがとうございました。
監修者
弁護士法人グレイス企業法務部
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