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企業法務コラム

正社員以外の雇用契約書で注意が必要な点

投稿日:
更新日:2024/08/20

東京・神戸・福岡・熊本・長崎・鹿児島に拠点がある弁護士法人グレイスの労働法コラムです。

今回のテーマは、正社員以外の雇用契約で注意が必要な点についてです。

相談者
相談者

今回は正社員以外の雇用契約で注意が必要な点について学んでいきます。そもそも、正社員とそれ以外の社員はどのように区別されるのですか。

播磨先生
弁護士

端的に言うと、契約期間の定めや勤務時間によって区別できます。正社員は無期契約かつフルタイム勤務が通常ですが、それ以外の社員は有期契約だったり、勤務時間が正社員より短かったりします。もちろん、正社員であっても通常は定年が決められているので、完全に無期限というわけではないでしょう。

相談者
相談者

雇用期間等に応じて区別されるのですね。てっきり転勤や出向の有無で区別されると思っていました。

播磨先生
弁護士

確かに、実務上、正社員とそれ以外の社員とで、就業規則によって異動の有無や福利厚生等の諸条件に関して様々な違いを設けている企業も多いですね。他方で、就業規則を一つしか用意していない場合、その就業規則は正社員以外にも適用されるので、注意が必要です。

相談者
相談者

正社員とそれ以外の社員で差を設けたい場合は、どうすれば良いのでしょう?

播磨先生
弁護士

例えば、パート・アルバイト用の就業規則を用意して、正社員との違いを明確に規定する企業もあります。また、個別の契約書についても、正社員とそれ以外の社員とで異なる書式を用意して、実態に即した契約を締結することが無用なトラブルを防ぐためにも重要といえます。

相談者
相談者

正社員とそれ以外の社員とで、就業規則や契約書の内容を完全に分けてしまえば良いという事ですね。

播磨先生
弁護士

少し細かいですが、念のため補足すると、正社員以外にも労働基準法やパートタイム・有期雇用労働法等の各種規制が適用されます。そのため、法律上、最低限守らなければならないルールが存在しており、完全に自由に条件を定めて良いというわけではありませんので注意してください。 特に、2024年4月から労働条件の明示のルールが改正されており、有期雇用については、更新上限や無期転換申込権の明確化といった点に注意する必要があります。

相談者
相談者

はい、分かりました!ほかにも正社員とそれ以外の社員とで違いに気を付けるべき点はありますか。

播磨先生
弁護士

はい。雇止めに関する規制には特に注意が必要ですね。

相談者
相談者

詳しく教えてください。

播磨先生
弁護士

先ほども説明したように、正社員は原則、定年まで雇用が保証されています。そのため、規定通りに定年まで勤務すると想定しておけば良いので、特に難しいことはありません。
他方で、有期雇用契約であっても、継続して5年以上勤務した場合、従業員は、無期雇用に切り替えるように企業に請求できる権利(無期転換権)を行使できるようになります。すなわち、企業は雇止めをできなくなってしまうということです。しかも、継続して5年勤務するという要件も複雑となっており、途中に短期間のインターバルを挟んだとしても勤務が「継続」していたと判断されるケースがあるため、注意が必要です。
したがって、有期雇用だからいつでも雇止めできると考えていると、企業にとっては想定外の事態に陥るリスクがあります。

相談者
相談者

なるほど。最近は、定年後も有期雇用契約を締結して再雇用する方法が一般的になりつつありますが、そのような場合でも雇止めに関する規制は適用されますか。

播磨先生
弁護士

はい。定年後の再雇用であっても、先ほど説明した雇止めに関する規制は適用されます。特に、定年後の再雇用となると、従業員の体力や認知能力等に不安が残り、いつか業務遂行に支障をきたすことも十分に想定されるところです。そのようなときに、従業員から無期転換権を行使されてしまうと企業は雇止めができないため、雇用を継続しなければならなくなってしまう恐れが有ります。これは企業にとっては想定外の大きな負担となります。

相談者
相談者

正社員以外との雇用契約について様々な注意点が存在するのですね。今日はありがとうございました。

【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

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監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

本店所在地
〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目1-35 サンセルモ大門ビル4階
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WEBサイト
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