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企業法務コラム

雇用契約書を作成する必要があるか

投稿日:2021/10/21
更新日:2022/07/12
雇用契約書を作成する必要があるか

法律により、会社が従業員を採用する際には、書面で明示する必要のある事項が定められています。従業員が希望する場合には、FAX・電子メール・SNS等の方法でも可能とされています。このような通知書を「労働条件通知書」といいます。
労働条件通知書は、厚生労働省のウェブサイトでひな形が公表されていることもあり、書式として汎用されています。

他方で、労働条件通知書に記載する必要がある事項は、法律で必要になる最低限の項目です。例えば、会社の服務規律に関する事項は、労働条件通知書の必要的な記載事項とはなっていません。しかし、服務規律に関する事項は、会社の運営の基本的なルールを構成するものですので、実務上では重要な事項です。また、会社の業種によっては、入社時に、従業員に対して秘密保持等の義務を課することも検討に値します。このような項目を網羅的に記載するためには、労働条件通知書ではなく、雇用契約書が適しています。

労働条件通知書は、入社時に従業員に交付するだけですので、入社後に労働条件が変更になった場合のことを想定していません。他方で、雇用契約書は、従業員の合意が取れれば、定期的に締結しなおすことも可能です。入社後に労働条件が変更になっても、それを物理的に証明するものがなく、雇用の実態だけが続いていることはよくあります。雇用契約の内容を定期的に見直し、現状に即しているかを確認するためには、労働条件通知書よりも雇用契約書が適しています。

法律上は、雇用契約よりも就業規則が優先することが原則です。但し、例外があり、雇用契約の条件が就業規則よりも従業員に有利になっている場合には、雇用契約の条件が優先します。また、就業規則で具体的に定めていても、就業規則を従業員に適切に示していない会社も散見されます。就業規則が適切に従業員に周知されていない場合には、就業規則の効力が及ばないと判断されるリスクがあります。そのため、雇用契約の条件を正確に書面化しておくことは重要です。

雇用契約書の作成にあたって、以下の点を意識しておく必要があります。
第1に、雇用契約書は、従業員のパターンに応じて作成することが望ましいです。
従業員のパターンには、大別して、正社員(無期雇用契約)・契約社員(有期雇用契約)・パート/アルバイト・定年後再雇用者がありますが、それぞれについて、契約の内容は異なります。

第2に、雇用期間・労働時間・給与・人事異動・退職・服務規律等の項目について、個別に定めておくことが望ましいです。

雇用期間の内容として、有期/無期の別(有期の場合には契約期間の満了日・再雇用の有無/基準)・試用期間・定年(再雇用の基準)があります。
労働時間の内容として、出勤日・休日・休暇・始業時刻/終業時刻・休憩時間・残業の有無/内容があります。
給与の内容として、基本給・各種の手当・割増賃金の計算(どの手当が基準内賃金として割増賃金の算定にカウントされるか/固定残業代の有無)・賃金から控除される費目・給与の支払日・昇給/降給・賞与・退職金があります。
人事異動の内容として、就業場所が特定の場所/業務に固定されているか・配置転換/転勤の有無があります。
退職の内容として、退職申出の期限・退職時に返還すべき資料/データの返還方法があります。
服務規律の内容として、就業規則に記載するような内容を改めて雇用契約書に記載することで、従業員にあらかじめ注意喚起を促す効果があります。秘密保持・競業禁止は、在職中はもとより、退職後のことも想定して、入社時に明確化しておくほうが望ましいです。退職直前に秘密保持・競業禁止に関する誓約書を取り付けようとしても、従業員から拒否される可能性が高いためです。

雇用契約書を作成することにより、実際の労働条件とのミスマッチがなくなりますし、就業規則との整合性もチェックすることができるという効果も期待できます。

監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

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