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企業法務コラム

試用期間について

投稿日:2021/07/29
更新日:2023/12/22
試用期間について

1. 試用期間の概要

1-1. 試用期間とは

試用期間とは

試用期間とは、雇い入れた従業員の能力や適性を評価して本採用とするかどうかを判断するための期間をいいます。

試用期間の長さは、一般的に、3ヵ月から6か月を設定することが多いようです。

試用期間中の労働契約は、採否決定までの段階では十分調査ができない性質、正確、能力について、後日における調査や観察に基づく最終的な採否の決定を留保する解約権付労働契約とされています。

なお、必要以上に長い試用期間は、労働者をいつ留保された解約権を行使されるかわからないという不確実な地位に置かれることから無効となる場合があることには留意が必要です。

1-2. 試用期間の延長について

設定した試用期間内で従業員の適正等を判断できない場合には、試用期間を延長することも考えられます。しかし、延長をするためには、就業規則などで延長について定めていない限り、原則として認められないと考えられています。

さらに、このような規定があるとしても、雇用契約を締結した際に予見し得なかったような事情により適格性等の判断が適正になし得ないような延長を必要とする合理的事由がなければ、試用期間の延長は許されないとした裁判例もあります。

2. 本採用拒否の有効性について

本採用拒否の有効性について

試用期間を経た結果、使用者が、従業員に適性がないと判断した場合であっても、無条件に労働契約を解消できるわけではありません。

試用期間を設定した場合であっても、使用者と従業員の間には既に労働契約が成立しています。そのため、試用期間終了後の本採用拒否は留保された解約権の行使、すなわち「解雇」に他なりません。いわゆる正社員の普通解雇に比べると、使用者に裁量の幅が認められる余地はあるものの、解雇であるからには、本採用拒否が有効といえるために「客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当である」必要があります。

本採用拒否の有効性は、試用期間が適格性の有無に関連する事項について必要な調査を行い、適切な判定資料を十分に収集することができないため、後日における調査や観察に基づく最終的決定を留保する趣旨で解約権が留保されたものであることからして、通常の解雇よりも広く有効性が認められると考えられています。

具体的には、採用当初知ることができず、また知ることが期待できないような事実を知るに至った場合において、そのような事実に照らしその者を引き続き当該企業に雇用しておくことが相当であるかという点から判断されます。

3. 試用期間満了前の解雇について

試用期間中の解雇については、同期間中の全期間を見たうえで労働者の適格性を判断すべきであることから、解雇が有効といえるための客観的合理性と社会的通念上の相当性は認められにくいと考えられています。

4. 試用期間としての有期雇用の利用

試用期間としての有期雇用の利用

使用者として、労働者の能力や適性を判断するため、無期雇用契約を締結して試用期間を設定するのではなく、一定期間の期限を定めた有期雇用契約を締結する場合も存在します。

このように試用期間の代わりに有期雇用契約が利用されるのは、有期雇用契約の期間満了による終了(雇止め)のほうが、無期雇用契約における解雇よりも雇用契約を終了させることが容易と考えられているためです。

しかし、有期労働契約で締結した場合であっても、場合によっては、無期雇用契約と判断されるときがあるため注意が必要です。

具体的には、使用者が労働者を新規に採用するにあたり、その雇用契約に期間を設けた場合において、その設けた趣旨・目的が労働者の適性を評価・判断するためのものであるときは、当該期間の満了により雇用契約が当然に終了する旨の明確な合意が当事者間に成立しているなどの特段の事情が認められる場合に除き、期間は契約の存続期間ではなく試用期間であると判断されることがあります。

そして、特段の事情の有無にあたっては、①他の労働者と同じ業務を行い使用者の取扱いも変わらないこと、及び②期間満了時に新たな契約書作成の手続がとられないこと、などが考慮されます。

5. まとめ

以上のように試用期間であっても本採用拒否については慎重に判断しなければなりません。安易に試用期間を理由に本採用拒否を行うと思わぬ紛争に巻き込まれる危険性があります。そのため、本採用拒否を行うにあたって、その合理性を裏付けるために試用期間中に適切な証拠を残すことも必要になります。試用期間を採用している場合には、是非専門家である弁護士にご相談いただければと思います。

監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

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