企業法務コラム
意外と知らない休日の事実
更新日:2022/07/12
休日とは何か。知っているようで、実は意外と知らないのが休日という仕組みになります。ここでは、休日の基本的なルールを改めて確認していただくとともに、労働者から休日中の残業代を請求されるといったことにならないよう、ご自身の会社の慣行を振り返る機会にしていただければと思います。
1. 休日に関する基本的なルール
休日とは、労働義務が設定されていない日のことです。
使用者は、労働者に対し、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならないと決められています。ただし、4週間に4日以上の休日を付与する場合は、毎週1回以上の休日を与える必要はありません。
また、休日に労働をさせるためには、時間外労働協定(36協定)を締結し、行政官庁に届け出ることが必須となります。
2. 休日の振り替えについての落とし穴
とはいえ、会社からしますと、業務上、休日に出勤をしてもらわなければならないこともあるでしょう。その際、先ほど説明しました休日のルールに反しないためには、休日振替の方法を取る必要があります。
休日の振替には、
- ① 事前の休日振替
- ② 事後の休日振替
の2つの方法があります。
そして、各方法を取るにあたっては、それぞれ必要な手続きを取り、要件を満たした場合に限り、認められます。休日は、使用者にとっては、割増賃金の支払と密接に関係します。法律に基づかない休日の振替は、休日と認められませんので、ご注意ください。
2-1. 事前の休日振替
事前の休日振替とは、あらかじめ、就業規則等で定めた休日を所定労働日に変更し、代わりにその後の所定労働日を休日に変更することを言います。事前に指定することがポイントです。
2-2. 事後の休日振替(代休)
事後の休日振替とは、所定休日に休日労働をさせた代償に、後から代休日を与えることを言います。
2-3. 必要な手続き
事前・事後の各休日振替は、
-
① 労働契約上の根拠が必要なため
- 就業規則又は労働協約において休日振替を必要とする場合に休日振替を行うことが出来る旨の規定を設けた上
- 1の規定に基づき、実行する場合(事前の休日振替の場合は、あらかじめ振替休日を特定する必要があります)
- ② 労働者の個別的同意を得た場合
のいずれかに限り、認められます。
2-4. 注意事項
休日振替によって、所定労働日が休日と認められた場合、その休日中、残業をさせなければ、割増賃金は発生しません。しかし、休日振替によって、特定の週の所定労働日が増加し、1週の法定時間を超えた労働時間が発生した場合、割増賃金が発生してしまう点には、ご注意ください。
また、事後の休日振替の場合、休日に労働をさせていることに変わりはないので、割増賃金の支払が必要となります。
なお、割増賃金の支払とは、代休が同一賃金計算期間内に取得された場合には、代休日の賃金を差し引き、割増分の35%のみの支払と判断した裁判例がありますが、同一賃金計算期間内ではなく、代休に関する賃金精算規定がない場合は、原則として、1.35倍の割増賃金支払請求権が発生している点に、ご注意ください。
3. 休日中の「労働」について
労働者が休日中残業を行えば、法定の基準に従って、割増された残業代の支払をする必要があります。
詳細は、未払残業代の記事に譲りますが、ここでは、近日、労働者が会社の業務を持ち帰り、残業をするケースなど、会社としては、休日中に労働をさせたつもりはなかったケースについて触れることとします。
休日中の労働にあたるかどうかの判断はケースバイケースであり、安易に自己判断をするのではなく、弁護士等に相談することをお勧めします。
3-1. 持ち帰り残業
古くは風呂敷残業という言葉がありましたが、現在は、IT技術の発展とともに、労働者は時間や場所を選ばず、業務を持ち帰り、労働をすることが可能な時代となっております。
では、持ち帰り残業が労働にあたってしまう場合はいかなる場合なのか。それは労働者が使用者または監督者の指揮命令下に置かれ、労働に服したのかどうかで判断されます。
指揮命令下に置かれていたのかについては、明示的な業務命令だけでなく、事実上、業務を行わなければ期限に間に合わないような場合の指示など、黙示のものも含まれます。
3-2. 休日のイベント
近日、会社行事の必要性が見直され、休日に、バーベキューや運動会などのイベントを開催する会社も出てきております。
自主的に有志だけで行われる場合の多くは、労働に該当することはないでしょうが、事実上、強制的に参加しなければならない場合は休日の労働にあたり得ます。
4. まとめ
休日の議論は、未払残業代の問題やメンタルヘルスの問題等も密接に関わってきます。併せて他の記事も参照頂ければと思います。
監修者
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