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企業法務コラム

心理的負荷による障害の業務起因性

投稿日:
更新日:2023/08/28

心理的負荷による障害の業務起因性

労働災害の認定に関して、業務起因性の要件としては、①認定基準の対象となる精神障害の発病、②発病前おおむね6か月間に業務による強い心理的負荷が認められること、③業務以外の心理的負荷及び個体側要因によって発病したと認められないことの3つが必要となります。

業務による心理的負荷を原因とする精神障害については、これまで「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(平成23年12月策定)という10年以上前に策定された基準に基づいて、その障害が業務上のものであるのか業務外のものであるのかを判断していました。

しかし、令和2年6月に、職場におけるパワハラ防止対策の義務化や、職場における「パワーハラスメント」の定義を法律上規定した「改正労働政策総合推進法」が施行されました。これに伴って「心理的負荷による精神障害の認定基準」も改正され、「業務による心理的負荷評価表」が従来よりも明確に記載されています。

これまでは「出来事の類型」を、(1)事故や災害の体験、(2)仕事の失敗、過度な責任の発生等、(3)仕事の量・質、(4)役割・地位の変化等、(5)対人関係、(6)セクシャルハラスメントといった6つの類型に分けて定義をしていました。今回の改正では、この類型に新しく(7)パワーハラスメントが追加され、どのような視点から心理的負荷の強度を評価するかが明確化されています。

同法の施行後、恒常的な長時間労働やトラブルが多発する傾向にあり、ワーク・ライフ・バランスや福利厚生、生活の質の向上が問われています。
上司や同僚等による嫌がらせ、いじめ、暴行などの具体的な出来事が類型化されていますので、詳細は、厚生労働省の「心理的負荷による精神障害の認定基準」に関するサイトをご覧いただければ幸いです(https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/000638825.pdf)。時間がなければ、同サイトに掲げられている別添「業務による心理的負荷評価表」の負荷強度「強」の欄だけでもご一読いただければ、きっと役立つと思います。

【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

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監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

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