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企業法務コラム

否認事件

2021/04/22

弁護士の中には刑事事件を取り扱う者も多く、私もその一人です。取り扱った刑事事件の中には、長いもので約1年半続いたものもありました。

刑事事件はいわゆる自白事件と否認事件とに分けられますが、両者は対応が全く異なるうえ、難易度も圧倒的に否認事件が難しくなります。また、自白事件では早ければ起訴から1ヶ月前後で裁判が終わりますが、否認事件ではそうはいきません。私が1年半も続けていた刑事裁判も、それが完全否認事件であったためでした。

自白事件の場合、被告人は起訴された事実を認める以上、弁護人は被害者との示談の存在や反省の程度、再犯可能性がないことや更生可能性があること等を主張して、できる限り刑を軽くするための活動や、執行猶予を取得するための活動(情状弁護)を行います。
ところが否認事件、特に犯人性を争う場合(自分は犯人ではないと争う場合)には、そもそも被告人が起訴された事実を認めていないことから、情状弁護をするにしても一定の限界があります。例えば、「起訴された事実は自分が犯したものではない」と主張しながら、反省の弁を述べることが矛盾していることをお考えいただければ、ご理解いただけると思います。
私が経験した前述の刑事事件も、犯人性を否定するものであり、いわゆる全部否認事件でした。全部否認する以上、示談はあり得ませんし、被告人に反省の弁を述べさせることもありません。公判回数も優に10回を超えました。その間、捜査機関が提出した証拠の弾劾や、捜査機関による違法捜査についての主張、更にはアリバイの存在の主張等を行うことになります。
否認事件をしていて私が感じるのは、被告人の否認にもかかわらず、裁判所が有罪判決を下す場合、被告人の否認態度が事実上、裁判官の量刑判断に当たって不利に働きはしないかという危惧です。それらは結局のところ、量刑不当を理由に控訴するか、裁判官の良心を信じるほかないのですが、否認事件を取り扱うといつも疑問に駆られるものです。また、捜査機関から被告人に非常に不利な証拠が提出されているにもかかわらず、被告人が否認をする場合に、自白を促すことが果たして正しいのかといった問題等、否認事件には実に難しい問題が絡んできます。
刑事事件は公開法廷で行われるだけでなく、一定規模の裁判所であれば、ほぼ毎日開廷されています。ご興味がある方は、一度傍聴されてみてはいかがでしょうか。

このコラムの著者

大武 英司 -OHTAKE EIJI -

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