企業法務コラム
ワクチン接種と業務命令
更新日:2021/07/26
現在、新型コロナウイルスのワクチン接種が日本でも本格化してきています。私が住む神戸市でも高齢者や医療従事者だけでなく、一般の方へのワクチン接種が順次開始されます。
そして、ワクチン接種を受けられる機会ができたことにより、会社として、従業員が新型コロナウイルスに感染しないよう、従業員に対して、新型コロナウイルスのワクチンの接種を受けるよう業務命令を出すということも考えられます。
そこで、本コラムでは、従業員に対してワクチン接種を接種するよう業務命令を出すことができるかについて考えてみたいと思います。
予防接種については、予防接種法という法律が存在します。
そして、同法において、予防接種を受けるかは「努力義務」とされています。そのため、接種するかは、従業員個人の自由な意思に委ねられているといえます。さらに、そもそも、ワクチン接種による副作用も懸念されるところであり、従業員の体質としてワクチン接種を受けられないという従業員も存在します。
そのため、会社が従業員に対して、ワクチン接種を業務命令により強制することはできないと考えられます。
したがって、仮に、そのような業務命令を出したとしてもその命令は無効と考えられます。
また、以上を前提とすれば、予防接種を受けないことを理由に従業員について不利益取扱い等は許されないといえます。
それでは、業務命令としてワクチン接種を従業員に命じることができないとして、会社としては何ができるでしょうか。
会社としてできるのは、ワクチン接種を勧奨することまで考えます。ただし、あくまで接種するかは従業員の自由であることから、勧奨の程度を超えるような従業員がワクチン接種を受けるまで執拗に勧奨を続けることは、パワーハラスメントになる恐れもあるため注意が必要です。
ウェブ上のニュースでは、コロナウイルスのワクチン接種に関して、ワクチンハラスメントといった言葉も目にします。会社としては良かれと思っても、従業員が素直にそのように捉えてくれるかは分かりません。また、その中にも法的に問題となりうることも存在します。そのため、そのほか労務に関するお悩みがあればいつでも弊所にご相談いただければと思います。

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【著者情報】
弁護士法人グレイス企業法務部
企業・経営者向けの顧問サービスに強みを持ち、約750社の顧問先企業を有する(2025年9月時点)。また、「社外法務部」という名称で主に中小企業に法務のアウトソーシングサービスを提供している。
従業員の解雇や問題社員対応などの労働問題、契約書・債権回収・損害賠償請求などの取引をめぐる紛争、不動産の取引に関する紛争、横領・着服・背任等不正行為、法人破産、M&Aや事業承継など。
監修者
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