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企業法務コラム

能力不足を理由とする解雇について

2019/08/25

労務問題・労働法

弁護士:岡本 明

働き方改革~時間外労働の上限規制

1. はじめに

近年、人手不足を主因として、採用を強化する会社が増えているように思います。一方で、十分な審査がなされないまま採用した結果、会社に適応できない人材や会社の求める能力に足りない人材を雇用してしまい、トラブルになるケースも見られます。
そこで、今回は、能力不足を理由とする解雇についてご紹介いたします。

2.能力不足を理由とする解雇

(1)概略
能力不足を理由とする解雇は、普通解雇に分類されますが(懲戒解雇ではありません)、同解雇には、法令上「客観的に合理的な理由」(労働契約法16条)が必要とされております。
能力不足を理由とする解雇における「客観的に合理的な理由」とは、単なる能力不足では足りません。能力が著しく劣ること、さらに改善の見込みがないことを満たす場合に、はじめて同解雇を認める裁判例が多いのが実情です。
以上のとおり、能力不足による解雇が認められるケースは、非常に限られており、安易に認められないことを、強く認識いただく必要があります。

⑵具体例
能力不足を理由とする解雇は、①新卒か中途採用か、②会社の地位、③業務内容の専門性、高度性、④給与体系などを、総合的に判断していくことになります。
一般的な傾向として、新卒で長期的な雇用を前提としている一般職の場合は、能力不足を理由とする解雇は認められにくく、逆に中途採用で、当初より高い地位に就き、専門性の高い業務を担当するような場合には、解雇が認められやすい傾向にあります。
ただし、解雇の判断には、個々の事情に大きく左右されるため、上記傾向を過大視すべきではありません。

⑶対応策
能力不足を理由とする解雇を満たすためには、客観的な資料の収集が不可欠です。例を挙げるとすれば、採用面接時の参考資料、問題となっている社員の業務の成果物や、同じ業務を行った他の社員の業務を比較できる資料、指導記録等を一定期間、収集することなどが考えられます。

3.まとめ

能力不足を理由とする解雇は、ときとして、懲戒解雇より認められる可能性が低い解雇に分類することができます。安易に、能力が劣っているから、と判断することは危険ですので、事前に、弁護士に相談いただき、対応策を検討いただければと思います。

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