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企業法務コラム

固定残業代制に対する誤解について

投稿日:
更新日:2021/06/28

労務問題・労働法

弁護士:桂 典之

固定残業制は、残業の有無にかかわらず、あらかじめ定めた時間残業したものとみなし、毎月定額を残業代として支払う制度です。
固定残業制という制度自体は広く知られており、実際に導入されている企業様も数多くおられますが、弊所に寄せられる相談をみますと、制度について十分に理解されないまま運用されていることが珍しくありません。
固定残業制は適正に運用しなければ会社が思わぬ損害を被るリスクがあります。以下では、固定残業制にありがちな誤解について解説します。

  1. 固定残業制を採用しているので労働時間を把握する必要はないと誤解されている場合があります。しかし、使用者に課せられた労働者の労働時間を適切に把握する義務は、固定残業制の採用によって免れるものではありません。
  2. 固定残業制を採用しており、定額の残業代を支払っているのだから、労働者から残業代請求をされることはないと誤解されている場合もあります。しかし、予め定めた固定残業時間を超えて残業をさせた場合、当該超過分については残業代を別途支払わなければなりません。
  3. 固定残業制は、予め定めた時間に満たない残業しかしていなくても固定残業代を払わなければならず、また、予め定めた時間を超過した場合は別途残業代を支払わなければならないため、必ずしも使用者に有利な制度とはいえません。

そもそも、固定残業制が法的に有効となるためには、以下の要件を充足する必要があります。

  1. 労働者と使用者との間で、固定残業制を採用することの合意がある
  2. 固定残業制が「通常の労働時間の賃金部分」と「割増賃金部分」が明確に区別できるような内容になっている
  3. 固定残業時間分の超過分は残業代として支払う合意がある

以上の条件を満たさなかった場合、固定残業制として無効となるため、改めて残業代を払わなければならなくなります。それだけでなく、固定残業代として支給した金額が、残業代を計算する際に基礎となる賃金に加算されるため、支払うべき残業代も高額となります。

固定残業制を導入されている企業様におかれては、本稿を機に自社の運用を確認することをお勧めいたします。
弊所で相談対応することも可能ですので、いつでもご相談ください。

【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

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監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

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〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目1-35 サンセルモ大門ビル4階
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