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企業法務コラム

休職制度の設計と運用:企業が知っておくべき実務上のポイント

投稿日:
更新日:2024/11/12

東京・神戸・福岡・熊本・長崎・鹿児島に拠点がある弁護士法人グレイスの労働法コラムです。

今回のテーマは、休職制度の設計と運用についてです。

相談者
相談者

最近、従業員から病気や怪我で長期休養をする必要があるといった申し出を受けることも増えてきています。従業員からこのような申し出がった場合、どのように対応すればいいのでしょうか?

播磨先生
弁護士

まず重要なのは、従業員の健康状態とその影響を正確に把握することです。その上で、休職制度の適用を検討します。

相談者
相談者

なるほど。休職制度ということですが、そもそも休職制度とはどのような制度でしょうか。

播磨先生
弁護士

休職制度とは、従業員が何らかの理由により労務に従事することが困難になった場合に、雇用契約を維持したまま、一定期間労務の提供を免除することをいいます。たとえば、重篤な病気や怪我がある場合、従業員は治療と回復に集中できるように休職が認められます。

相談者
相談者

休職制度について、法律には具体的な規定はありますか。

播磨先生
弁護士

労働基準法施行規則の第5条第1項では、休職に関する事項を労働条件に明示するよう定めていますが、具体的な休職の条件や期間については具体的な規定はありません。そのため、企業と従業員の間の契約や就業規則で規定を置くことになります。

相談者
相談者

なるほど。休職制度の内容は企業が任意で定めることができるということですが、どのように休職制度を設定すればいいのでしょうか。

播磨先生
弁護士

休職制度に関する規定には、①休職の対象者、②休職の種類、事由、③休職期間、④休職中の労働条件、⑤復職時の取り扱い、⑥復職しないまま休職期間満了となったときの取り扱いといった事項について定めておく必要があります。

相談者
相談者

色々決めておく必要があるのですね。休職制度の規定を考えるにあたって注意すべき点はありますか。

播磨先生
弁護士

注意点は色々ありますが、例えば、トラブル防止の観点からは、賃金、昇格、賞与、算定の取り扱い、退職金の算定など労働者の生活に直結する賃金について休職制度の利用によりどのような影響が生じるかということは明示しておくこといいでしょう。また、年次有給休暇の取り扱い、復職の判断方法についても定めておくのが望ましいといえます。そのほかにも、同じ理由で欠勤を繰り返すような場合にどのように対処するかといったことも想定しておく必要があるでしょう。

相談者
相談者

休職制度を設計するにあたっては色々考慮しなければならないことが多いことがわかりました。次に、休職制度を定めたとして、休職制度を実際に運用するにあたっての注意点はありますか。

播磨先生
弁護士

休職制度は、休業事由に該当するような従業員が労務に従事することが困難になるという事情が必要です。そのため、従業員が労務に従事することができるのかという事実認定を客観的な証拠をもって判断することが重要です。例えば、病気や怪我であれば、診断書を提出してもらうということが考えられます。
また、そもそも、この休職制度は私傷病を前提としていますので、業務に関連する病気や怪我であるかも確認する必要あります。
そのほかにも、休職制度は、欠勤を繰り返す従業員に懲戒処分を行うにあたって、その利用の適否を検討することも求められることがあります。実際、精神疾患が疑われる従業員について諭旨解雇処分をする前に、精神科医による健康診断を実施し、休職等を検討すべきであったとして諭旨解雇処分を無効とした裁判例もあります。

相談者
相談者

なるほど。制度を定めたとしてもその利用方法や事実確認も重要ということですね。休職制度についてよくわかりました。ありがとうございました。

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【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

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監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

本店所在地
〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目1-35 サンセルモ大門ビル4階
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