企業法務コラム
「休職・復職に関する諸問題」
労務問題・労働法
弁護士:岡本明
[ニュースレター62号掲載]
1. はじめに
近年、心の病により、会社を休職する社員が増加しているように思われます。しかし、いざ休職の制度を運用しようとしたとき、休職の制度の理解が足りないがために、問題となる事案が見受けられます。
そこで、今回は、特に心の病に関する休職、復職に絞って解説いたします。
2. 休職・復職の問題点
休職の問題は、一般的には、特に以下の点が問題となろうかと思います。
①休職開始時点
いつから休職が開始したのかについて、問題になることがあります。これは、就業規則における休職の規定が、休職を命じる等の、休職命令を行うことを前提としていることがあるためです。休職がいつから開始したのか、という問題は、休職期間がいつ満了するのか、という問題の裏返しです。見落としがちですが、気を付けるべき点の一つです。
②私傷病による休職事由
社員が心の病により会社を休職する場合の多くが、私傷病という業務外の傷病により欠勤することになろうかと思います。この場合、業務外の傷病ですので、業務上の傷病とは区別される点は気を付ける必要があります。
3. 復職の判断
心の病により休職した場合、復職の判断は休職における最大の問題の一つです。
こちらも、就業規則の規定の仕方が大きく関係いたします。通常は、医師の診断書を基準にすることが多いかと思いますが、就業規則によっては、産業医による受診を認めるのか、診断書の提出を義務とするのか、などの詳細が規定されていないものが見受けられます。
加えて、診断書上は復職困難とされているものの、様子を見るために休職期間満了後も退職としなかった、あるいは、復職が難しいことを伝えたがために、却って心の病を加速したと言われ、再度休職が始まってしまう、などの事案もあり、慎重な判断が求められます。
4. まとめ
以上のとおり、休職という制度には、就業規則や実際の運用において、多くの問題が潜んでおります。休職に伴う紛争を未然に防ぐためにも、一度ご相談をいただければと思います。
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