企業法務コラム
働き方改革が始まりました ~年次有給休暇の指定義務化について~
更新日:2023/12/21
1. はじめに
2019年4月1日から、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(以下「働き方改革関連法」といいます。)により、労働基準法、労働安全衛生法などの関係法律が改正され、順次改正された法律が施行されています。
そこで、本コラムでは、働き方改革の内、同年4月1日から施行され、すべての企業で問題となる年次有給休暇(以下「有給休暇」といいます。)取得の義務化について解説いたします。
2. 有給休暇に関する改正の内容について
労働者は、一定期間継続して勤務をすると、その期間に応じた日数の有給休暇を取得することができます。そして、有給休暇を取得するかは労働者の自由です。しかし、理由は様々あると思いますが、労働者の有給休暇の取得が進まないことから、使用者が時季指定をして有給休暇を労働者に取得させることが義務付けられました。
具体的には、使用者は、法定の有給休暇の付与日数が10日以上である労働者に対し、そのうち5日について、有給休暇発生日から1年以内に時季を指定して有給休暇を付与しなければなりません。使用者がこの義務に違反すると、30万円以下の罰金を科される場合があります。
3. 具体的運用について
まず、使用者の有給休暇の時季指定について就業規則に規定をしなければなりません。そのため、使用者としては、就業規則の改定が必要となります。また、実際に有給休暇の時季を指定するにあたっては、労働者に有給休暇を取得したい時季を聴き取ったうえで、できる限りその時季に有給休暇を取得させることになります。
加えて、労働者ごとに有給休暇を与えた時季、日数及び基準日を記載する年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。
なお、労働者が自ら有給休暇を取得した場合及び労使協定により有給休暇の計画的付与を行った場合には、その日数を使用者の付与義務の対象となる年5日から差し引くことができます。
4. セミナーのご案内
以上のように、有給休暇の取得一つとっても使用者として実務上対応しなければならないことが多くあります。その他にも、今回紹介した有給休暇に関する改正以外に、長時間労働の上限規制や労務時間の管理義務など重要な改正が存在します。そのため、法改正に関して正確な知識が必要となります。
5月には、当事務所主催で働き方改革に関するセミナーも行いますので、皆様のご参加をお待ちしております。
【著者情報】
播摩 洋平弁護士
企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)
九州大学大学院法学研究科修士課程 修了
米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業
三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務
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